店内では、時計修理もしています。最初は店の時計を売るために整備、修理していたのですが、お客さまから「修理してくれるところがなくて困っている」という話を聞いて、それならばウチで修理しましょうか、とお受けしたんです。時計が直ったことを喜んでいただいて、知り合いの方々をいろいろとご紹介いただいたりして、おかげさまで現在に至っています。時計修理のご依頼で「これは無理です」ということはほとんどないです。だいたいの時計は直ります。もちろん、それぞれ修理の仕方も違うので、修理する方向性なども含めて打ち合わせしながら、作業前に見積りをお出しして、あとは、お客さまがその時計に対して、どれだけの愛情を注がれるおつもりがあるのかどうか、修理するかどうかの判断をしてご依頼いただくことになります。
これはちょっと手ごわいぞ、長期戦になるなというのも、結構ありますね。それぞれ、頭で考えているのと実際に作業するのとでは、ちょっと違ってくることも多いんです。こう考えていたけど、どうもうまくいかないなあと、それで何日も試行錯誤したり。こうやってもダメ、ああやってもダメ。じゃあ、どうしようか、と。そういうときは、もう、しばらく、その時計のことを忘れて、考えないようにするんです。気持ちが一つのことに固執してしまうとダメなので、ちょっといったん忘れようと・・・。違う作業に取り掛かる。すると、意外にふっとアイデアが浮かんできたりするんです。それを実行して、時計が息を吹き返した瞬間は最高の気分になります。
動かない時計をお預かりして、じっくり手がけて直したものをお渡しする時というのは、とても嬉しいです。受け取りに来られたときに喜んでいただき、「ありがとう」なんておっしゃっていただけるとホント、良かったなあと思います。その嬉しさで、また、次の時計修理も頑張ろうって。