古い柱時計たちの多くは、当時のステイタスシンボルであった、ということと、たくさんの人に時を報らせる役割として、文字盤も見やすく大きく、ボンボンの音も、よく聞こえるように大きいのが、多いですね。

店には、いろんな年代の方がいらっしゃいます。「懐かしいわね」とおっしゃる方から、初めてボンボン時計の音を聞いて、ワクワクしている若いカップル、小さなお子さんまで。モノを実際に見て触れて、そういうふうに気持ちがふくらむのは、楽しいですね。もしも、自分がすごく気に入ったモノに出会ったけど、お金がないとしたら…… ぼくらの小さいころは、今はお金がないけどアレを買うためにがんばるぞー と、前向きに考えていたなあ。手に入れるのに苦労しても、長く愛用していけるなら、そのほうがいいと。手に入れるまでが大変なほど、手元にきたときはうれしくて、大切にするんじゃないですか。

すぐに手の届くような気軽に買えるモノが、ダメというわけじゃないですよ。でも、それがすべてになってしまうと、空虚なモノに囲まれた楽しくない生活になってしまうような気がする。なにか一つでも、自分が好きなモノを身につけたり、一緒に暮らしたりしていると、気持ちが豊かになるように思うんです。だから、モノに興味がないとか、素直な気持ちじゃなくて値段重視で見るとしたら、ちょっと淋しい気がします。ネットや雑誌では、情報が先走りして、自分が本当はなにが好きかわからなくなって、値段重視になるのかもしれませんが。

お店では、興味を持ってくださった方には、実物を手に取って見てもらっています。実際に触れることで「実物ってこういうモノだな」っていうことがわかると思う。感動して、興味を持って、時間をかけて自分の手にするという喜びを、ぜひ、味わってほしいですね。