古時計の物語を聞こう

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店にある古いモノたちは、ひょんなことでご縁があって集まってくる、というカンジです。買い付けに行けば必ずなにかある、というわけじゃないんです。例えば、100カ所探しに行ってもまったく出会わないこともある。そこで「とにかく何か連れて帰らなきゃ」と焦ったりすると、モノを見る目が曇って、結局いいモノに出会えないんだな、とだんだんわかったんです。買い付けに行って空振りなんてよくあることで。出会うまで焦らずに待つ。

店をやっていると、古いモノ、とくに古い時計に興味のない方とお話しているときに、違うご縁でつながったりしてご紹介いただく、ということもよくあります。いま、店にいるモノたちは、みんなご縁ですね。それぞれのモノたち、とくに時計は、以前の持ち主の歴史、当店にやってきた物語を持っています。あの時計にもこの時計にも、歴史があるんです。

自分の目で見て確かめて、すべてに自信を持ってお客さまにお渡しすることができるモノばかりですが、これがいつ、どんな方に売れるのかどうかという予想は、まったくつきませんね。これも、ご縁ですから。「これは、なかなか巡り会えないモノだから、しばらく店にいてほしいな」と思って、ちょっと目立たないところに置いたりすることはあります。すると、そういうモノに限って、意外にパッとお客さまに見つけられたりします。そんな時は、売れてほしくないというよりも、よくぞ見つけてくれました、ありがとうという気持ちです。きっと、これもご縁なんだと。新しい持ち主に大切にしてもらえれば、幸せだと。うちの娘をよろしく、と送り出す父親のような、そんな気持ちでしょうか。

そういえば、時計を探すというのは、結婚相手を探すことと似ているんですよ。まず、見た目、第一印象、それが気に入るか。それから、この時計と一緒に暮らしたらどうなるか、という“想像力”ですから。

 

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