それで…… 新しいものをつくりだすよりは、古いものを大切にする仕事のほうが、向いているかなと思い始めました。古着も好き、雑貨類も古いデザインのものが好き…… まあ、趣味に留めておけばよかったのかも知れないけれど、何か仕事にできないかな、と思い始めましてね…… もう、その頃は、休みを利用してフランス、アメリカ、イギリス、もちろん日本でも、いろいろ行きまして、買い求め、そういう仕事に携われればいいかなと…… 家の中、古いものでイッパイでしたね。
会社を辞める時は、私は、どうも新しいものをつくりだすのに向いていない、というのを理由に…… 引き止められませんでしたね、気持ちがそうなっているのなら、仕方がない、と。…… 会社辞めて、つぎにアルバイトをしたのです、アメリカもののビンテージ・ショップで。……それもたまたま、見つけたお店で、すごく大好きなステキなカンジと思いましたら、ちょうど「アルバイト募集」の貼り紙があったんですよ。すぐに、アプローチ。エエ、タイミングはいつも、よくて。販売経験もほとんどないのに、…… 旅などして、自分探しをしているうちに、気持ちが固まってきたこともあって、ショップで働くのも、ムダにはならない、と。
……それって、もう、20年くらい前のことになりますかね。街には、高価なビンテージものを扱うお店が、できてきていましたね。バブル崩壊後でしたが、そのお店はとてもうまくいっていましたね。どこもいまよりも、だいぶ高値で売買されていたと思います。そこで、1年少し働いているうちに、自分のお店を持ちたい気持ちがどんどん強くなってきて、独立したんです。…… で、えーと、その前に独立したら、もう海外で長期滞在もできないだろうと思って、フランスに7ヵ月行きました。買い付けも兼ねて。