接客については、慣れてきたという感じはありましたが、モノについては知れば知るほど奥が深くて、慣れるということは無かったですね。しかし、だんだん 自信と知識が肉付けされて、自分のスタイルができあがってくるんですね。大切なことは、自分を偽らないことだと思いました。早く一人前になりたいと思うあまり、大きくみせようとか、カッコつけることに気持ちが行っちゃうんですね。でも、仕事をしているうちに、大分、考え方や立ち居振る舞いが変わりました。
で、7~8年経った頃から独立したいなという気持ちが出てきたんですね。社長の買い付けに同行したり、現地のアンティークディーラーの話を聞いたりしているうちに、その思いはどんどん強くなって。このまま夫婦二人、同じところでずっと働いて行くわけにもいかないし、それに、他にもイロイロと考えるところもありまして、それで、もう少し働いたら辞めて独立しようかな、と。それまで数年かけて買い集めてきたアンティークやヴィンテージのアクセサリーもだいぶ溜まってきてましたし。それからしばらく働いて、会社を辞めて、物件を探しを始めてから3カ月で店をオープン。…… 物件は、都心は家賃も高いですし、ムリなので、あきらめました。
吉祥寺にも行って見ましたけど、ちょっと違う。西荻窪は、アンティークの店が多くて、そういう商売の土壌があるんですね。で、西荻に絞って探して、ココを見つけました。ココ、駅からちょっと、離れていますよね。それがいいと思いました。駅の近くのほうが集客はあるでしょうが、扱うモノが偏っているじゃないですか。好きな人にゆっくり見てほしいんですよ。いまのこのへんだと、入ってくるひとも、ちょっとノンビリした感じ…… そういうころあいが、よかったんですね。あ、家内は、もう、そうするしかないわね、というふうでしたね。ええ、で、二人ほぼ同時に、辞めたんですよ。でもまあしかし、慌ただしかったですねえ。途中、熱を出して寝込んだりしましたよ。