昨年の9月に名古屋にある無印良品 名古屋名鉄百貨店で、久しぶりに展示会を開催させていただきました。前回のコラムで書いたワークショップが楽しかったので、名古屋でも開催できる場所を探していたのです。思い立ったが吉日、すぐに以前担当していただいたKさんに連絡を取ると、意外な答えが帰ってきました。「実は来年の2月で、この建物(名鉄百貨店)自体が取り壊しになってしまうんです。だからこのお店も2月で無くなってしまうんです。」連絡を取ったのがすでに9月に入った頃で、通常は何ヶ月も前からスケジュールが決まっていくので、今回は無理かもと一瞬あきらめかけたのですが、偶然にも10月に入っていた予定が、開催中止となり空きが出ているということでした。その日程でもよければぜひと言ってくれたのです。

無印良品 名古屋名鉄百貨店にはOpen MUJIという地域の人と人との交流やイベントを開催するスペースがあり、これまでも何度かそこでワークショップや展示を開催させていただきました。実は10年前のまだオープンして間もない頃からずっとお世話になっていて、その頃からKさんが担当をしてくれていたのです。当時は入社したての頃だったようで、そこから10年間、一緒にイベントを行ってきたたくさんの思い出が一気によみがえってきました。もうお店がなくなってしまうと思うと、これまでの集大成的なイベントにしたいと思いました。開催まで残り1ヶ月もなかったので、通常は展示会を1から作るには非常に短い時間でしたが、10年間の最後を飾る良い展示にしたいと思いました。

Kさんと何度もメールで相談をしながら、構想を形にしていく作業が続きました。打ち合わせをしていく中で、一つ絶対に入れたいものがありました。それは無印良品をイメージした一点もののモビールを作ることでした。これまでお世話になったお返しとして、やはりモビールで気持ちを示したいと思ったのです。いろいろ案を出した中で、自然の素材感を大事にする無印良品のブランド理念をストレートにモビールで表現したいと思いました。余計なものを省き、シンプルな色と形だけで表現すること。以前から抽象的なカタチのモビールにもトライしてみたかったので、僕にとっても、とても良い機会でした。できあがったモビールは、自分でも満足がいくものになりました。タイトルは「KAZETOHA」。風でモノが動く様子を、無印良品のロゴの色を使って表現しました。
最初にKさんに見てもらうと、とても喜んでくれました。と同時に驚いてもいました。これまでは動物などの可愛らしいモチーフで作られたモビールが多かったので、シンプルなものができあがってくるとは思っていなかったようなのです。親戚の子どもとたまに会うとものすごく成長を感じるように、Kさんにとっては大きな変化に映ったのかもしれません。
このモビールの他にも、展示会では未公開のラフスケッチや、モビールが作られる工程など、これまでの活動の歩みを十分に紹介できたと思います。展示の見せ方や配置は、ほとんどKさんが作り込んでくれました。この短い時間でこれだけの展示ができたのは、本当にKさんの丁寧な気配りと補助があったおかげです。Kさんから僕を見て何かしらの成長を感じたかもしれませんが、僕も同じようにKさんの成長を感じました。10年という月日がお互いを成長させてくれたと思うのです。
9月に連絡を取っていなければ、知らないうちに閉店となっていて連絡が取れなかったと思うと、このタイミングで開催できたことは奇跡というか、大きなご縁の力を感じました。会期中は以前の展示会にも来てくださった方や10年前から知ってくれている方など、たくさんのお客様にお越しいただきました。2月で一旦お別れとなりますが、お互いの成長は続くと思うので、またどこかでご一緒する時が来ることを今から楽しみにしています。

