7月に入りあっという間に梅雨が上がったと思ったら灼熱の日々。エアコンなんかありませんから就寝時に扇風機を回す羽目に。それでも「下界よりマシだ」と来る方は皆さん仰いますが、当方にとっては経験したことがない暑さです。このままだと暑さを知らない村の老人たちは次々倒れるんじゃないかと危惧していたら、8月13日の午後、突然土砂降りの雨となって、これを境に「いつもの夏」が唐突にやってきました。
 
蝉時雨で目を覚まし、窓を開けるとひんやりとした風が体を包みます。涼しいというよりちょっぴり寒い感じ。外に出ると夏の日差しがカッと照りつけます。温かいを通り越してちょっぴり暑いかな? 昼に向かいどんどん気温は上昇していきますが、森の中はさわやかな風が吹き抜け額の汗がサッとひきます。夕方から気温が下がり、日が暮れる頃風呂に入れば、上がった後の爽快感はこの季節の醍醐味。窓を開け放つと昼間の蝉の声は消え、涼やかな虫の音が聞こえてきます。夏の後には秋が来ることを思い出しました。
 

猛暑を超えた夏

中津江村近隣の町で開催された国際キャンプ。参加したベトナムの子どもたちを受け入れました。暑いのには慣れているのかと思っていたら「日本の方が暑い。ベトナムも暑いが夜は涼しい」そうです。熱帯には熱帯夜がないって知っていましたか? 「ベトナムでは川は汚れていて泳げない」というので川遊びに連れ出しました。中津江村は筑後川の源流。山から湧き出しているので水は飲めるほど綺麗で非常に冷たい・・・あれ? 冷たくない! 夏でも足がしびれるほど冷たい川に頑張って身を沈めていくのが楽しいのに、なんだか生温かい。こんなの初めてです。あっさりと水に浸かった子供たちは歓声を上げ、大人たちは言葉を失いました。
 
子どもたちの帰国の日、福岡市まで送って行きました。午前9時出発、中津江村の気温24℃。11時半、福岡市に到着、37℃。日本中で「猛暑日」の連続記録を更新中。四国では40℃を超える日が続出し、40℃以上の日を何と呼ぼうか検討しているそうです。「猛暑日」という気象用語が生まれたのもわりと最近なのに、もうその上の呼び名が必要なんて、異常ですよね。
 
「酷暑」なのか「激暑」なのかわかりませんが、前回お話しした通り夏といえばハチとマムシの下刈! 「そんなに暑けりゃ春にやればよいだろう」と思われるでしょうが、そうはいかない。毎年草が大きくなるのは梅雨以降だから、春では早過ぎます。秋まで待つと草はさらに成長し、太くて強くなって刈るのに非常に手間がかかる。まして一年サボって次の年にやろうとすると、倍以上の手間がかかります。よってどんなに暑くても下刈は夏にやる。でも何も真昼にやることはない。夏は陽が長いんだから「朝5時~10時、午後5時~7時に作業」なんてのもアリ。昼間は家に帰って昼寝です。「中津江式サマータイム」おススメですよ。
 

profile

田島信太郎 Shintaro Tajima
田島山業株式会社 代表取締役/大分県林業経営者協会理事/(社)九州経済連合会九州次世代林業研究会委員/日田林業500年を考える会会長 1980年慶応義塾大学法学部卒。西武セゾングループ代表室勤務を経て、1988年、父、祖父の急逝に伴い、家業を継ぎ林業経営者となる。日田林業500年目にあたる1991年、子どもたちを対象とした森林環境教育、また学生、社会人の森林ボランティア受入れを開始。「断固森林を守る」取り組みを続けている。

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