伐採作業で倒れた木はまだ枝も付いたままですが、これを丸太の形にするのが造材作業です。
私たち林業経営者は木を植え育て、大きくなったら伐採し、最後は丸太の形で販売します。その後、丸太は製材工場で柱用の角材や板に加工されます。一般的に丸太は長さ4mに伐ります。柱が2本とれて(日本建築の柱等の長さの基準が1間=約1.8m)、なお多少の余裕があるのがそもそもの理由だそうです。かつては枝を一本一本斧で切り、尺(4mの竹竿)をあてて長さを測ってチェーンソーで4mに切っていました。今は「ハーベスタ」という機械で造材の全てを行います。当社のハーベスタはフィンランド製で、日本製の建設機械(バックホー)のアームの先に装着します。林業機械はヨーロッパが先進地で、彼の地は古い大陸で地盤が固く安定しているそうです。従って森林内にホイール系(タイヤ式)の機械で入っていくのが主流です。これが日本の森林には不向きなため、土木、建設現場で活躍しているバックホーで代用しています。サイズや機種も豊富で完成度が高いのですが、やはり日本の森林に適した新たな林業機械の開発に期待しています。バックホーにはワイヤードラムも装着しており(こうしたアレンジが容易なのが魅力ではあります)、このワイヤーで作業路まで引っ張り出した木を、ハーベスタががっちり掴みます。掴んだ木を強くスライドさせるとサイドに装着したナイフが枝を全て切り落とします。スライドしながら同時に長さを測り、内蔵のチェーンソーで4mに切断します。ハーベスタを追いかけるのが、こちらは日本製の「フォワーダ」です。キャタピラー式のトラックにクレーンを装着したこの機械は、ハーベスタが造材した丸太を拾って作業道まで運搬します。ハーベスタやフォワーダ等の機械は「高性能林業機械」と呼ばれています。
前回お話しした通り、「作業路」は合自然的で簡易な道路ですから、キャタピラー式の機械しか入れません。作業道まで運ばれてきた丸太を直径や曲がりにしたがって、2~3のグループに選別し、取引先に直送します。現在伐採中の現場では、一定のサイズ(直径16cm以上で曲がりが小さい)の丸太を近隣の製材工場に直送し、それ以外を木材市場で販売しています。作業道でこれをグループに分け、取りに来た10tトラックで搬入します。これが当社の間伐システムです。
おさらいすると1.森林内に作業路を建設し、伐採作業開始 → 2.作業路にハーベスタが入り、作業路に伐採した木を引き出すとともに造材して丸太にする → 3.フォワーダが作業路に点在する丸太を集めて作業道まで運ぶ → 4.作業道で2~3グループに分け、10tトラックで市場や製材工場へ搬入する。これが一連の間伐作業の流れとなります。 「高性能林業機械」を用いた間伐は、確かに人力が主流だった以前よりはるかに効率的ですが、ハイテクというよりはむしろ「手作り感」が残る機械で、とにかく高価なのが困りものです。木材の価格がどんどん低迷していく中で、非常に高価な機械を駆使して作業するのですから、それこそこの機械の稼働率、稼働時間を上げる事が最大のポイントになります。それでもこのシステム、我国の林業技術の最先端で、ここ大分県日田地方では一般的になりつつありますが、全国的には圧倒的に高効率低コストの間伐作業と言えると思います。