私、一度も、就職したことないんですよ。その昔は、全然、違う仕事をしていまして。料理の仕事をしてたんですね。その店で、フリーマーケットをやりまして、それがだんだん面白くなってきて、回数を増やしていきました。初めは、自分が持っていて不用なものを並べていたんですが、それも底をついたので、仕入れして売るということもやりました。仕入れって、よそのフリーマーケットに買いに行くんですが。
料理は当時、中野にあった「カルマ」という無国籍料理屋さんのバイトだったんですね。わりと自由につくっていい、という店でしたので、無国籍という言葉どおり、何国風でもないという …… 私がつくって好きだったのは、自分ではオリジナルだと思っているんですけど、高菜漬けとトマト、トリ肉とかの煮込み。エジプト料理かなんかの本の写真を見て、勝手に材料を想像してつくってみました。実際は、高菜漬けではなく、モロヘイヤだったのですが。それ、意外に好評でした。レシピにあったものを、高菜に替えたので、味はエジプト風ではないんですけど、組み合わせとしては、結構、面白いと思っていました。あまり、違和感もなくて。
ウーン。私、特別に料理が好きということはなかったんですけど、そこで、5年、働いていましたかねえ。そのお店、中野駅近く、線路沿いのところでした。無国籍料理という言葉は、その頃は初めて聞く言葉でした。高山なおみさん、枝元なほみさんも、一緒だったんですよ。同じ時期に、そう、彼女たちと2、3年一緒でしたか。高山さんは、染色をやっていて、私は縫うことを少しやっていたので、二人で展示会みたいなことを、一度やりました、彼女の作品と、私のつくった服で。料理店の定休日に、お店で開いたフリーマーケット。それが、いまのこのお店のきっかけでもありました。