季節はずれのスキーの夢

楽しい夢を見た。近所の友人と居酒屋へ飲みに行ったら、素敵なおじいさんがいた。昔スキーヤーだった人で、戦前映画にも出演したとお話たくさん聞いた。私は、戦前の山岳映画(例えばアーノルト・ファンクなど)に興味があるので、もう嬉しくて仕方がなかった。その居酒屋は、不思議なことに雪山の上にあり、話が終わるとおじいさんは山頂からスキーで滑り降りて行った。私も真似してついて行ったが、テレマークですいすい滑り降りることが出来た。帰宅して、山スキーが趣味の夫に、滑り降りた雪山を指差しながら、あのラインをおじいさんと滑り降りたんだよ、と誇らしげに語る私。

ここまでは、居酒屋の分を抜くと、山登りや山スキーが趣味の夫と私が入れ替わったような夢だった。最近は腰を痛めて登山を控えているが、例年はこの時期は山スキーに熱心で、だいたい六月くらいまでは毎週末楽しそうに早起きしてあちこちの山に向かう夫なのであった。最近はその趣味が釣りになってるが。一方私は室内で本の山を眺める毎日。

この夢にさらに続きあり。山の下はすっかり初夏。草原で父母と父母友人と夫とピクニック。私はその場でまたまたかのおじいさんに会ったことを自慢。すると、その人のことは自分も知ってる!と、父母の友人がその人からの立派な手紙を見せてくれて話が盛り上がっていた。そこに珍しい蝶やトンボが飛んできた。網は今ないがつかまえなければ!とみな立ち上がり、近所の売店で網を買う父親。最初にとれたのは、ルリタテハ、じゃなくて、ふちが白いタテハ(これなんて名前だっけ?・・・キベリタテハだ!幼い時の憧れの蝶。)。こんな網でも結構取れるもんだと、私も網を手に入れて夫と走り回ってトンボを取った。

この部分は、幼い頃の家族で昆虫取りの思い出と、最近聞いた、甥が蝶やトンボに夢中な話がないまぜになって出来上がった夢だ。最近本の商いのことばかり考えて、自然が遠のいていた私。ベランダに菫やムスカリがたくさん咲いてはいるけれど、世話も怠って室内ばかりにいる。

本はそもそもは媒体なので、そこに描かれた(あるいは書かれた)実物からは遠い存在だ。本の中の美しい図版や楽しい写真、また素晴らしい素材の紙質や活版印刷の活字の並びには心癒されるけれど、そろそろ一度自然の中に行かないと心が疲れてきたのかな。