呉服屋、茶屋、酒屋...昔ながらの商家と商家の間に細い路地。その先には鑿の跡が残る石橋、そして石垣に囲まれた運河。これが私が生まれ育った場所です。



張れるように真ん中が凹んでいます
洋品店を営んでいた我が家は表通りと路地の角地にあったので、裏口から運河まで徒歩5秒。そんな環境なので子供の頃の遊びといえば、石垣によじ上ったり、石橋から度胸試しのダイブだったり...あとから気づいた事ですが、何かと石と縁がある人生のようです。
時間の流れとともに運河はその役割を終え、飛び石が配置され、さらには花しょうぶが植えられて、花の見頃になると観光バスが訪れるような観光地になっていました。
そんなふるさとで最近毎年開催されている「花しょうぶ祭り」。今年はお祭りに合わせ、家のガレージでモザイク教室を開催しました。石の町で石を割ってみようじゃない!と。今回は、そんな教室の様子をご紹介しますね。


東京の教室ですと、もともとモザイクに興味がある方が参加してくださいます。でも今回は、観光に訪れた方に、突然「石を割りませんか?」とお誘いする無謀なスタイル。はたして…?と不安だったのですが、みなさんほんとに素敵な作品を作っていかれました。
もちろん全員初めての石割り。 自分で石を割るなんて!とびっくりされていた方が10分後には黙々とテッセラを量産。「色によって硬さが違うのね」「カーブが大事なんだ」…なんて、とっても本質を突く感想を言ってくださって、ちょっとびっくりもしました。セメントに石を並べる時は、悩みながらもちゃんと適材適所。


はじめてのモザイクなのに、綺麗なテッセラで、しっかりとしたアンダメント(石の流れ)が出来ています。


路地を通る人々に、「なんばしよっとですか?」と何度聞かれた事でしょう。その度に「モザイクばしよっとですよ。石ば割ってからセメントの上に並べて模様や絵ば描きよっとです」とご説明。熊本県北部でのモザイク理解度が急上昇したのは言うまでもありませんね。
祭りの日にモザイク。
モザイク広め隊としては、これ以上無いチャンスかもしれません。来年はギャラリースペースも作ろうかと思案中です。
■第21回高瀬裏川花しょうぶ祭り(玉名市HP内イベント情報)
花しょうぶ、6月中旬、最盛期だそうです。お近くの方はぜひ。