vol.6 ウッドマイルズ?その2

日本は8割の木材を特に遠方の国々からの輸入に頼っていますが、輸送距離が長くなると不利になることの一つが、輸送エネルギーの増加です。

 
各種建材の製造時のCO2排出量
photo01:各種建材の製造時のCO2排出量

ある製品の消費エネルギーを考える時、製造、輸送、使用、廃棄という一連の消費エネルギーをすべて足し合わせた、ライフサイクルエネルギーで考えることが一般的ですが、木材製品は、この中の製造過程の消費エネルギーが極めて少ないことでも知られています。木材製品は製材所のノコギリで切断したり、カンナで削ったりする程度で出来上がりますが、アルミニウムや鉄の製品は成形するのに膨大な熱エネルギーを必要とします。具体的な消費エネルギーの量は(photo01)の通りで、左から5つの木材製品は圧倒的に少ないです。(グラフでは、消費エネルギーの量を排出されるCO2量に換算しています)。

 
木材の輸送過程と製造過程のCO2排出量
photo02:木材の輸送過程と製造過程のCO2排出量

木材の輸送エネルギーはどうでしょうか。木材の輸送距離と輸送量(ウッドマイレージ)が分かると、あとは何で運んできたか(トラック、船、鉄道など)が分かれば、およその輸送エネルギーを計算することができます。この輸送過程で消費されたエネルギーを排出されるCO2量に換算したものを、ウッドマイレージCO2と呼んでいますが、せっかく製造エネルギーが小さい木材も、遠方の国々から運んでくるため、製造時の数倍のCO2を排出してしまっています(photo02)。

 

 
木造住宅のウッドマイレージCO2
photo03:木造住宅のウッドマイレージCO2

もう少し身近な家づくりで考えてみると、一般的な木造2階建ての住宅を、全て欧州材を使用して建てた場合と、全て150km内程度の地域材で建てた場合では、木材の輸送過程で排出されるCO2が、約6,000kgも違います。もっと分かり易くガソリン消費量で換算してみると、約2,700リットル分です(photo03)。つまり、家1件を建てる際に、どこの産地の木材を使うかによって、輸送という私達には見えないところで、これだけ消費エネルギーが違ってくる、ということです。

 

なるべく近くの国産材や地域材を使うことで、木材の輸送エネルギーを削減する、という一つの環境貢献に寄与することが出来るのです。

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