先回のコラムのとおり、日本にはたくさんの森林資源があるにも関わらず、私たちは木材の約8割を輸入しています。当然のことながら輸入材は海外の森林で産出されたものです。海外の森林はどのような状況なのでしょうか?
海外では森林は減少しています。地球全体では、1990?2000年の10年間で約1億haの森林が消滅しています(表1)。東京ドーム約2,140万個分、ちょっと想像できない大きさですが、毎年どこかで日本の国土面積の約3分の1の森林が消滅していると言われています。8,000年前の地球上の森林と比べると約5分の1しか残っていないそうです。現在の日本のように森林資源が増えている国は、極めて稀な国と言えます。
なぜ、森林は減少するのでしょうか。農地を開墾するための伐採や、道路やダム開発のための伐採など、様々な理由がありますが、特に「違法伐採」というものが今問題になっています。森林を守るために決められた条約や関連法規に従わずに木材を伐り出し、世界の市場に売ってしまう木材が、近年増加しているという問題です。
違法伐採なんて私たちには関係ないと思うかもしれませんが、違法伐採木材の約4割がG8諸国へ、そのうち半分は日本が輸入していると推測されています。私たちの輸入材の消費が、世界の違法伐採や森林減少に加担しているかもしれないのです。最近は中国を経由する違法伐採製品が増加していると見られていて、さらに問題をややこしくしています(図1)。中国産の安い木製家具などを目にする機会は少なくないと思いますが、これがちゃんとした木材なのか、違法伐採による木材なのか、判断することは容易ではありません。
国産材を使うことで、少なくとも世界の違法伐採や森林減少への加担のリスクを回避する、ということもできるのです。もちろん全ての輸入材が違法伐採という訳ではありません。違法伐採ではないことを証明するマークを付けた製品も増えています。しかし、木材産地と消費地が遠ければ遠いほど、それを証明する仕組みにも大きなコストがかかります。なるべく近くの木材を使うことは、不要なコストを減らす効果もあるのです。どこの森林から来た木材なのかに思いを寄せること、これは今後の森林資源に対して私たちができる、大切なポイントです。