vol.02 人工林の健康状態は?

木材をつくるための人工林は面積にすると約1千万haです。これは日本の約1/3の面積です。そこに蓄えられている木のボリュームは26億m3と試算されています。とてつもない量の木材資源が我が国にはある訳ですが、問題はその健康状態です。

 
適度に間伐がなされている健康な人工林
photo01:適度に間伐がなされている健康な人工林

木を育てる林業では始めに植林を行いますが、わざと苗木を密に植えます(密植)。そしてお互いの成長を競わせつつ、必要に応じて人間が間引きを続け(間伐)、良木を育てていくというやり方が一般的です。最初に疎らに植えてしまうと競う相手がいないため、好きなように曲がったり、すぐに太って年輪の粗い木になったりするからです。継続的に管理されている人工林では適度に間伐がなされているため、地面に日光が届き下草の緑も多い、明るく気持ちのよい森林になっています。(photo:01)

 
雪の重みに耐えられず木が折れててしまった人工林
photo02:雪の重みに耐えられず木が折れててしまった人工林

しかし、人間が途中で管理をやめてしまうとどうなるでしょうか。他にもたくさん木が生えているため太ることはできませんが、木はとてもたくましいです。細い体のまま、僅かな日光を求めて上へ上へと伸びていきます。その結果、モヤシ林とも言われるような、ヒョロヒョロの木で覆われた、地面には光が落ちる隙間がないため下草も生えない、真っ暗な森林となります。これが不健康な人工林です。全国の人工林の多くがこのような状態になってしまっています。このような森林では、台風が来ると一斉になぎ倒されたり、雪の重みに耐えられず折れてしまったり(photo:2)、という災害まで多発しています。

森林には、大気や水を浄化したり、雨水を蓄え浄化したり、多様な生物を育んだり、人間の余暇を提供したり、といった多面的機能があります。我が国の森林の多面的機能の評価額が1年間で70兆円にも上るという試算もあります。人工林は木材生産が主目的ですが、同様に多面的機能も備えています。人工林の荒廃は、木材生産だけではなく、私たちの生活環境そのものを脅かす、深刻な問題となっています。そしてその要因は、私たちの木材消費に深く関係しています。

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