12月17日(土) ~
12月25日(日)
釋永 維「風の旋律」
北大路魯山人は、その著書『魯山人陶説』の中で「美の根源は、自然界が教師であり、お手本である」と語っています。正にその通りだと思います。自然の摂理を知ることは、創造の基本だからです。
釋永 維さんは、立山連峰の麓に位置し、美しい田園風景が広がる自然豊かな立山町に生まれました。今日の金属造形作家としての原点が、そこにあります。作品の多くは自然をテーマにしています。彼女は繊細な感性の持ち主です。木々の葉擦れに風のメロディーを聞き、季節の移ろいの中に生命の膨らみを捉えます。「鼓動」と題された立体は、金属板を無数の点で透かし、それを錬金術師で曲げ、幾枚も重ねることで、羊歯が繁殖していうような生命観を表現しています。また「風」と題された作品は、柳の葉が風に絡み合うようなリズミカルな旋律を表現しています。
今展には、青、黄、白の「風の旋律」作品が出品されます。釋永さんは、金属の持つ強靭さと朽ち果てていく脆さの両極を受け入れながら、完成度の高い作品を創作しています。そこには、彼女なりの循環の思想が見られます。しかし、この作家はさらなる高みを目指します。詩人が深い思索の道を辿って心理に辿り着くように、彼女も自分の歩調で一歩一歩辿っていくことでしょう。
美術評論家 森 孝一
釋永 維 動きださないだろうか… 柔らかな金属の表情に生命を意識する。 自然に投影した心の景色を表現したいと思う。 略歴 1981年 富山県に生まれる 2004年 高岡短期大学(現・富山大学芸術文化学部)専攻科産業造形専攻修了 2013年 ミキモト装身具原型制作課退社 2016年 金沢卯辰山工芸工房 技術研修者終了 2017年 「素材の息吹-発展する工芸のかたち-」(黒部市美術館) 「イセ・コレクション世界を魅了した中国陶磁器展(日本の名工芸品)」(国立ギメ東洋美術館/フランス) 2017・19年 個展(柿傳ギャラリー/新宿) 2018・22年 個展(日本橋高島屋) 2019年 「密なる世界-北陸気鋭の四作家達-」(銀座和光ホール) 「生まれ変わる伝統:イセ・コレクション所蔵・現代日本の工芸品」(香港大学美術博物館) 2021年 「華やぎの工芸展-陶・漆・木・金属・硝子の物語-」(銀座和光ホール) リッツカールトン東京に作品提供、その他、個展グループ展多数。
日 時 | 2022年12月17日(土)〜12月25日(日)12:00~17:00 ※期間中無休 ※作家在廊日 12/17(土)・12/18(日)・12/24(土)・12/25(日) |
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場 所 | 玄羅 石川県金沢市本町2-15-1 ポルテ金沢3F |
H P | http://genraart.com/ |
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