浄土寺周辺の空き家見学会をサポートしている。
不動産屋ではあつかっていない、地域の人から相談を受けた物件を紹介している。気になる空き家を見つけたら、手紙を入れたり、近所の人に聞いたりしてコンタクトを試みる。なかなか地道な作業だが、Bridge Studioの開設など、それなりに成果も上がりつつある。
さて、空き家問題。
京都市も「京都市空き家対策室」をポータルサイトとの合わせ技で運用しており、新しい動きとして注目しておいて良いかもしれない。
情報を周知共有して空き家問題の議論を高めることは必要だ。ただ、比較的「口出ししやすい」問題ゆえ、状況をこねくりまわすだけで、全然、前に進まんじゃないか。という事態にも陥りやすい。僕らが一番気をつけていることでもある。
ゴミ処理から物件紹介まで、現場に関わる立場から言わせてもらうと、行政サイドからダイレクトに「効く」サポートがもっと欲しいのが本音。
やはり、補助金の類を期待してしまう。
京都市もポータルサイトは立ち上がったのだが、以前あった、京都市空き家活用・流通支援等補助金が昨年以降休止している。同じ内容でなくてもいいので、何らかの補助金は検討して欲しいところ。
先日、金沢の空き家問題に関する『みんなで考える家とまちのこれからノート』というパンフレット(「とりあえず団地」発行)をもらった。小さくてかわいい冊子だが、これが本当によく出来ている。
例えばQ&Aコーナーに「片付けに困っています」という事例が出てくる。
じつは、空き家をどうにかしようとする際、最初に困るのが残置物問題で、負担も大きい。その割に、片付けについてアドバイスをもらえる機会はほとんどない。
質問の回答も「まちに開いた片付けをしよう」と、地域で問題を共有する方法を提案している。近所の人に手伝いを頼むのは、ハードルが高そうだが、回答の方向としては、本質をついている。空き家問題は、周囲との関係性も大きなストレスになる。
課題を地域に開き「これから」を「みんな」で考える。このパンフレットは、そのような姿勢を後押しする効果がある。
空き家問題のサポートは、リスクの提示→専門家(法律関係や不動産業者)の紹介。という流れで語られる場合が多い。ただ、それ以前に、気持ちとして整理しておきたいこともある。片付け、ゴミ捨て、さまざまな個別の事情も出てくるだろう。これらストレス案件の解消は、難しい専門的知識を必要とするわけではない。
頭脳よりフィジカルとコミュニケーション能力。メンタルケアと言っても良いかもしれない。最初の一歩に安心感があれば解決への道筋も大きく変わってくる。
僕らの見学会は、いい人、いい店を呼んでくる。という点で見返りも期待できる活動だと考えている。今現在、何軒かの片付けを並行してやっているが、そのうち家の1軒や2軒、タダでもらえそうな気配すら感じている。
活動のメリットをどこに置くのか?
新しい価値観を作る作業でもあるので、やりがいはある。こんな地べたの活動をアピール、またはサポートする方法を考えてもいいかもしれない。