鮨石川県は日本海に面した海岸と、七尾湾に面した海岸の2つの漁場を持ち、四季折々の魚介類が一年を通して多く水揚げされています。新鮮な魚介類が手に入るのでお寿司屋さんも多く、ここ金沢市と、北海道の小樽市、静岡県の清水市は日本三大寿司大国と呼ばれているそうです。
石川県では、お祭りには笹寿しや握り鮨、運動会には稲荷寿司、おめでたいことがあると板前付きのお寿司屋さん、普段使いには回転寿司。平成22年度の“お鮨の消費金額日本一”という調査結果(総務省統計局・家計調査より)も出ているくらい本当にお鮨が大好きな県民と言えるでしょう。

百万石の鮨

価格表示も明確で手軽に食べられる回転寿司、かたや、敷居が高く値段もわからないからお店に入ることを躊躇してしまう板前付きのお寿司屋さん。
「美味しいお鮨が食べたいけれど…」そんな声から生まれたお寿司屋さんの『百万石の鮨』。熟練の鮨職人が素材を吟味し、プライドをかけて握るお鮨を、カウンター越しからその熟練された技を目で追い、味わう。手さばきの美しさ、繊細さ、華麗さ、そして鮨職人との会話を楽しむことが出来るのはカウンター鮨ならではの醍醐味です。
『百万石の鮨』は旬のネタを使った特選10貫セット(お味噌汁付き)で、そのうちの1貫は“親父の一貫”と呼ばれる渾身の1貫を含みます。石川県鮨商生活衛生同業組合の加盟店25店舗で一律3,800円(税込)味わうことが出来ます。

百万石の鮨そんな『百万石の鮨』を味わいに「幸兵衛寿司」に伺いました。流れるような大将の一連の動作に見入ってしまいます。今回は大皿で10貫頂きましたが、1貫ずつ説明を聞きながらカウンターで味わうのがおススメです。この日のネタは、鯵・天然カンパチ・赤烏賊・梅貝・甘海老・平目の昆布〆・鯛・タコ・鱧と旬の魚介類。そして、“親父の一貫”は能登鮪と呼ばれ能登で水揚げされた本マグロ。米どころ北陸ですからシャリはやや大きめ。昆布出汁をひいて、沸騰した出汁の中にお米を入れる地獄炊きという炊き方で仕上げた石川県産のコシヒカリを米酢とリンゴ酢を独自にブレンドした合わせ酢を使って仕上げた関西風のシャリ。口の中でほろほろとくずれ、ネタとよくなじむ。魚介の甘味や旨味、身の締まり具合や弾力など、種類によっていろいろな味とバランスを楽しむことができます。

幸兵衛寿司1923年の関東大震災により被災した東京の鮨職人が故郷に帰り、全国に広がっていったという江戸前鮨は、その土地の産物と強く結びつき根付いていきました。
石川県は日本海がもたらす豊かな海の幸、霊峰白山からの伏流水、丹精込めて作られた石川のお米、それぞれの良さを鮨職人が上手く融合させたものです。
石川の鮨、職人の技や思いを味わいにきてみませんか?

オイシイモノ紀行 山根ひとみ

石川県鮨商生活衛生同業組合
TEL:076-262-8610
FAX:076-262-8612
H P:http://www3.ocn.ne.jp/~kensusi/

幸兵衛寿司
場所:〒920-0911
石川県金沢市橋場町1-6
TEL:076-264-1553
営業時間:11:30~14:00/16:00~22:30
(土日祝は11:30~22:30)
休業日:水曜日
H P:http://www.koubei-sushi.co.jp/

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山根ひとみ
石川県金沢市在住。
日本フードアナリスト協会東京本部・北信越支部広報委員。
実家が農家ということもあり、農家さんの思いを形にしたいと、6次産業化や農商工連携アドバイザーを務める。フードアナリストとして石川の食を発信中。趣味は食べ歩き。