news letter 「住まいと健康」を考える 東賢一

WHOによる工業用ナノ材料から労働者を保護するためのガイドライン

ナノ材料は、100ナノメートル(10のマイナス7乗メートル)未満の径(高さ、幅、長さのいずれか)を有する極めて小さい材料です。おおよそウイルスの大きさと同様です。このようなサイズの材料は、塗料、医薬品、電子材料の分野で使用されています。しかしながら、この小さなサイズが原因で、ヒトの体内に侵入すると、さまざまな健康障害を引き起こす可能性が懸念されています。

しかしながら、ヒトの対する体内への侵入経路や体内動態、生体影響については不明な点が多いのが現状です。いくつかの工業用ナノ材料で生体影響が調査されていますが、工業用ナノ材料が使用始めてからの歴史が浅く、ヒトの慢性影響については観察されていません。そこで、細胞や動物での実験結果から、ヒトに対してあてはまるかどうかを検討しなければなりません。

このような観点から、WHOでは、予防原則の基本理念が工業用ナノ材料に適用されました。そして、特に最も工業用ナノ材料に近いところにいるのが、工業用ナノ材料を取り扱う労働者であることから、WHOは労働者を保護するためのガイドラインを作成いたしました。

ご関心のある方は、ご参考いただければ幸いです。

工業用ナノ材料のリスクから労働者を保護するためのガイドライン
WHO guidelines on protecting workers from potential risks of manufactured nanomaterials
http://www.who.int/occupational_health/publications/manufactured-nanomaterials/en/

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WHOによる住宅の衛生害虫に関する改善指針

住宅の衛生害虫に関する改善指針
Keeping the vector out – Housing improvements for vector control and sustainable development
http://www.who.int/social_determinants/publications/keeping-the-vector-out/en/

デング熱、マラリア、シャーガス病、リーシュマニア症など、熱帯
地域でみられる衛生害虫が媒介する感染症について、住宅
との関係や対策が記載されています。ご関心のあるは、
ご参考いただければと思います。

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平成29年度生活衛生関係の厚生労働省報告

以下のサイトに厚生労働省が開催した平成29年度生活衛生関係技術担当者研修会の報告資料が公開されています。

平成29年度生活衛生関係技術担当者研修会(平成30年2月1日)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/seikatsu-eisei/gijutukensyuukai/

1)建築物衛生の動向と課題
2)科学的エビデンスに基づく新シックハウス症候群に関する相談と対策マニュアル改訂新版
3)衛生動物に関する最近の動向
4)最近のレジオネラ症の発生動向と検査方法
5)2017年に広島県内で発生したレジオネラ症集団感染事案について
6)日帰り入浴施設におけるレジオネラ症集団発生事例
7)給水・給湯系におけるレジオネラ汚染の実態
8)温泉水に有効な消毒法の選定と実施例
9)各種配管洗浄の紹介と実施例

シックハウス症候群に関する相談マニュアル改訂新版について紹介されて
います。また、建築物衛生やレジオネラなど、近年の調査研究の結果が
紹介されていますので、ご関心のある方は、ご参考いただければと思います。

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カナダ保健省の室内空気質ガイドライン-アセトアルデヒド-

短期間曝露の指針値:1420 μg/m3(1時間値)
(喘息患者における気道の収縮反応に基づいて)

長期間曝露の指針値:280 μg/m3(24時間値)
(動物における鼻腔の嗅上皮の変性に基づいて)

Residential indoor air quality guideline: acetaldehyde
https://www.canada.ca/en/health-canada/services/publications/healthy-living/residential-indoor-air-quality-guideline-acetaldehyde.html

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ドイツの室内空気質ガイドライン-プロピレングリコール-

2018年1月のトピックでは、ドイツ連邦環境庁が2017年に公表したプロピレングリコールの室内空気質ガイドラインを紹介します。

ガイドライン1:600 μg/m3
ガイドライン2:60 μg/m3

プロピレングリコールは、建材では塗料や接着剤などの有機溶剤として使用されています。

(参考)
ガイドライン2は健康影響ベース、ガイドライン1は予防のためのガイドラインです。ガイドライン2を越えていたならば、特に、長時間在住する感受性の高い居住者の健康に有害となる濃度と判断されるため、即座に濃度低減のための行動を起こすべきと定義されています。

ガイドライン1は、長期間曝露したとしても健康影響を引き起こす十分な科学的根拠がない値と考えられています。しかし、ガイドライン1を越えていると、健康上望ましくない平均的な曝露濃度よりも高くなるため、予防のために、ガイドライン1とガイドライン2の間の濃度である場合には行動する必要があると定義されています。

従って、ガイドライン1が、長期間曝露による健康影響を未然に防止するうえで目指していくべき室内空気質といえます。

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送電線の電磁界による健康影響と国内外の対応―その3―

2017年12月のトピックをお送りします。今回のトピックは、前回に引き続き、送電線の電磁界曝露による健康影響防止に関する諸外国の対応について紹介します。予防的観点から対策を進めている諸外国として、前回はベルギーとフランスにおける対応状況を紹介しました。今回は、ドイツ、オランダ、イギリスの対応状況を紹介します。

1)ドイツ
ドイツでは法令で、1キロボルト以上の電圧を有する送電線施設の新設や改修時には、最先端技術を用いて電磁界曝露を最小限に抑えるよう定めています。高電圧の送電線を敷設する経路を計画する際には、住民が長期間滞在する建物の上を送電線が横切らないように計画されます。電磁界曝露の最小限化は、住民が一時的に滞在することを意図した場所を除き、住宅、病院、学校、保育施設、遊び場など、住民が長期間滞在する場所に適用されます。電磁界曝露の最小限化手段は、費用、機能性、環境負荷、福祉、労働安全性を考慮して検討されます。送電線の新設に関しては、住民が長期間滞在する場所では0.3μT(マイクロテスラ)以下にするなど、さらに厳しい措置が適用されている地域もあります。

2)オランダ
オランダでは、年平均で0.4μT(マイクロテスラ)を超える高圧送電線が敷設される地域では、小児が長期間電磁界に曝露する状況が生じないよう、国が地方自治体や電力会社に助言しています。この助言は高圧送電線だけに適用され、小児白血病との関係が疫学的に示されていない他の電磁界発生源には適用されません。

3)イギリス
イギリスでは、送電線による電磁界曝露を低減する位相整合の最適化など、低コスト対策の実行が推奨されています。また、イギリス政府は、住宅と送電線の間に立入禁止区域を設置することで、電磁界曝露をさらに低減するよう検討していますが、まだ実行計画はない状況となっています。
 

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送電線の電磁界による健康影響と国内外の対応―その2―

送電線周辺に居住する小児で白血病のリスクが上昇する可能性が示唆されていますが、十分な確証が得られていない状況です。但し、欧州のいくつかの国では予防的観点から対策を行っています。今回は、ベルギーとフランスにおける対応を紹介します。

1)ベルギー
ベルギーは、ブリュッセル首都圏地域、フランデレン地域、ワロン地域の3地域で構成されています。電磁界対策は、それぞれの地域毎に対応が異なります。

(1)フランデレン地域
ベルギーの国土の北半分を占めるフランデレン地域は、送電線を新設する際は、学校、保育所の上空に送電線を敷設することを避けること、住宅の上空に施設することは最小限に抑えるよう勧告しています。

学校と保育所を新築する際には、年平均で0.4μT(マイクロテスラ)を超える電磁界の場所には新築しないこと、また、室内環境に関する法令では、住宅や公共建築物を含めて10μT未満の低周波電磁界曝露に抑えることが必要とされ、0.2μTの実現に向けて努力するよう助言しています。

(2)ブリュッセル首都圏地域
15歳以下の小児が滞在する可能性のある場所の近辺に変圧器を新設する場合の電磁界曝露の環境基準として、24時間平均で0.4μT未満と定めています。

(3)ワロン地域
電力設備の電磁界曝露に関する予防的措置は定められていません。

2)フランス
フランスでは、小児の電磁界曝露が1.0μTを超える送電線、送電ケーブル、変圧器、母線の近辺に病院、産科病棟、保育施設を新築することはできる限り避けるよう各県に助言しています。

法的根拠はありませんが、送電系統の新設計画において、上述のようなセンシティブな場所の近辺にはできる限り電力設備を新設しないよう、電力会社が努力しています。

次回は、ドイツとオランダの対応について紹介します。
 

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送電線の電磁界による健康影響と国内外の対応―その1―

私たちは、発電所から送電線を通じて送られる電気を使用して生活しています。送電線に電気が流れると、電磁界が発生します。磁石や地磁気など、周波数がゼロの電磁界を静電磁界といいます。

私たちが使用する電気は50Hz(ヘルツ)または60Hzの周波数で、超低周波電磁界に分類されます。携帯電話の電波は800MHz(メガヘルツ)や2GHz(ギガヘルツ)ですので、高周波電磁界に分類されます。3THz(テラヘルツ)になると光の領域、3000THz以上になると放射線の領域になります。今回の話題は、超低周波電磁界です。

送電線等から発生する超低周波電磁界に曝露すると、体の中を電気が流れますので、神経や筋肉の活動に影響します。しかし、送電線や変電所からの電磁界はそれほどの強さではありません。

ただし、低強度であっても、長期間曝露すると人の健康に影響を与えるかもしれないとの報告があります。例えば、0.3から0.4μT(マイクロテスラ)以上の磁界に曝露すると小児白血病の発生リスクが高くなると報告されています。但し、その発生機序は十分わかっておらず、証拠は限定的と考えられています。

日本では、経済産業省が磁界に対する規制を導入し、「電気設備に関する技術基準を定める省令」を平成23年に一部改正しました。規制値としては、変圧器、開閉器等や電線路等を変電所等以外の場所に施設する場合には、当該施設の周辺において測定した空間の磁束密度の平均値が200μT以下となるように設置するという内容です。

この規制は、高レベルの磁界への短期的な曝露によって生じる健康影響への対応として、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)が公表したガイドラインに基づき定めたものです。低レベルの磁界による長期的な健康影響については、更なる研究プログラムを推進し、リスクコミュニケーション活動を充実させることとなっています。

次月のトピックでは、欧州諸国における対応を紹介します。
 

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ドイツ連邦環境庁による室内空気に関する健康リスク報告

ドイツ連邦環境庁は、「2017年重点」という年次報告書を公表しました。
http://www.umweltbundesamt.de/en/publikationen/schwerpunkte-2017

この中で、室内環境で使用される建材に関する警告を発しています。ドイツでは、ドイツ建築基準協会(DIBt)が室内空気に影響を与える建材製品の試験基準(対象は揮発性有機化合物)を設定しており、この協会の基準に適合する製品には認証マークが付けられてきました。

しかしながら、欧州司法裁判所は、加盟各国において、健康保護のための厳格な要求を建材製品に課すことを今後は認めないとする決定を下しました。この決定に至った経緯は不明ですが、この決定によって、欧州連合全体で、健康と環境の保護に影響を与える可能性が懸念されています。そして、ドイツ建築基準協会の認証マークが今後は利用できなくなる可能性が懸念されています。

上記の認証マーク等のラベリングは、消費者が健康に配慮した製品であるかどうかを確認するうえでも重要です。そのため、製品に対する明確なラベリングが必要とされてきました。
 

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2-エチルヘキサノールの放散防止材

2-エチルヘキサノールに対して、厚生労働省の室内濃度指針値が提案されていることは前回のトピックで紹介しました。

2-エチルヘキサノールは、塩ビ樹脂に含まれる2-エチルヘキシルフタレート(フタル酸-2-ジエチルヘキシル)がコンクリートのアルカリ成分と反応して加水分解することで生成されます。

コンクリートの下地に塩ビのフロアーや壁紙を敷設していると、2-エチルヘキサノールが空気中に放散される可能性が高くなると考えられています。

昨年、室内空気の国際学会がベルギーで開催された際に、2-エチルヘキサノールの健康リスク評価に関する研究発表を私は行いました。その際に、スウェーデンのルンド大学(Lund University)のラルソン教授 (Prof. Larsson)から、2-エチルヘキサノールの放散防止材を開発したということで、紹介を受けました。cTrapという名称の商品でした。シート状の商品です。

ラルソン教授は医学系の先生で、生物医学がご専門なのですが、健康障害防止の観点から、cTrapの開発に関わっているようです。ラルソン教授は、室内空気の国際学会でよくみかける先生です。

先月、ポーランドで開催された国際学会でもラルソン教授と再会し、引き続きcTrapを紹介していきたいとお話されていました。実験で2-エチルヘキサノールの放散量を低減したことやヒトの症状が改善したことも確認しているとのことでした。

cTrap
http://www.ctrap.com/

日本にも類似した技術があるかもしれませんが、2-エチルヘキサノールは、欧州でも問題になっており、ドイツでは日本よりも先行して2-エチルヘキサノールの室内濃度指針値を策定しています。

本トピックで特定の商品を紹介するのは、好ましいことではないとは思いますが、建築現場で施工業務に携わっている方々に、何らかのかたちでご参考になれば幸いです。
 

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