news letter 「住まいと健康」を考える 東賢一

フランス環境省による家庭用薪ストーブからの粒子状物質排出抑制対策

ストーブや暖炉で使用される薪や木質ペレットなどを燃焼する際に、燃焼状態や条件が悪いと大量の粒子状物質が発生します。

フランスにおける2018年の微小粒子状物質(PM2.5)の排出量は、家庭用薪ストーブ等から排出されるPM2.5がフランス全体の43%であったと報告されています。また、このような排出源からの微小粒子状物質で年間4万人が死亡していると推測されています。

このような状況を踏まえて、フランスでは2030年までに微小粒子状物質の排出量を半減するための対策を策定しました。具体的には、暖房装置の買換えの促進、排出量を低減した高性能装置の開発、燃料の品質向上、含水率の上限設定、高汚染地域での木材燃焼による暖房の規制措置などになります。

日本におけるPM2.5の国内での主な排出源は、自動車や船舶の排ガス、アンモニアを発生する農業や畜産、火力発電所、ばい煙や粉じんを排出する工場などであり、家庭からの排出量の割合は小さいと報告されています。

私は、住宅の調査で家庭用薪ストーブを使用している世帯をいくつも訪問し、展示場の見学もしましたが、薪ストーブによる暖房は暖かく、炎の揺らぎや炎のオレンジの色はヒトに対してリラックス効果を与えます。燃焼状態が良好なためか、粉じん等の排出はほとんどみられませんでした。

フランスでは、燃料の品質や暖炉等の装置にさまざまな技術的課題があるようですが、居住者に対する良い効果を有効に利用するためにも、バランスのとれた燃料や装置の開発に取り組んでいただければと思います。

 

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