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9月16日(火) ~

9月30日(火)

野村幹太『吉田寮学生寄宿舎史』ができるまで

恵文社一乗寺店 野村幹太『吉田寮学生寄宿舎史』ができるまで

このたび、書店フロアにて、写真家・野村幹太さんの著作『吉田寮学生寄宿舎史』フェアを開催いたします。
本書は日本最古の学生寮として、当時から現代までの吉田寮にまつわるさまざまを記録したもの。
ユニークで凝った造本設計のもと手製された原本は”Paris Photo-Aperture Foundation Photobook Awards”、”KASSEL DUMMY AWARD”他、多数の受賞に至り、本書はイタリアの”ANDY ROCCHELLI GRANT” のグランプリ受賞特典としてCESURA PUBLISHより、普及版として出版されました。

高度な学びを実践しながら衣食住を助け合い、それぞれの歩む道へ進んでいく人々の記録ともいえましょう。
今回のフェアでは、原本のユニークな造本設計の一部や、形になるまでの遍歴なども一部展示する予定です。
ぜひお越しくださいませ。

これは日本で最も古い学生寮、吉田寮のものがたりである。

吉田寮の前身である京都帝国大学寄宿舎が誕生したのは1897年、今から100年以上前に遡る。以来寮は長きにわたって学生自ら運営を担ってきた。また、生活空間以外にも芝居や音楽の上演のため、学内外から多くの人が集まり学生文化が醸成される場となった。
近年、大学が建物の老朽化などを理由に、全寮生の退去を求め、寮の存続を求める寮生と対立している。両者の溝は埋まらないいまま、2019年4月、大学は建物の明け渡しを求めて居住する学生らを相手取り提訴するに至った。そしてその裁判は今現在続いている。
この先行きが不透明になっている吉田寮の写真を撮り始めて10年ほどになる。
吉田寮を初めて訪れた時、廃屋のような屋敷の玄関から一歩踏み入ると薄暗がりのなかに脱ぎ捨てられたサンダルや汚れた布団、口の開いた調味料や酒瓶が目に入った。その混沌とした生活空間には皮脂や汗のような体臭の他に、少し時間がたった食べ物や吸い殻、床や畳に染み込んだ湿気など、ある種独特な匂いが立ちこめていた。建物の至るところに、幾世代にもわたって寮生たちが蓄積してきた多種多様な垢の匂いが確かに刻まれている。訪れるたびにそれらは気配となって密度を増して感じられるようになり、その気配が放つエネルギーに私は強く惹かれていった。
百年の時を経たこの吉田寮には、ここに集まり、通り過ぎていった無数の寮生たちが残してきた痕跡や記憶がある。それは濃厚に発酵し、強い残り香を今も放っている。

野村幹太

野村幹太
写真家。京都府生まれ。
同志社小劇場の劇団員時代に出会った吉田寮を長年記録した、手製による写真集「吉田寮学生寄宿 舎史」がLUMA RENCONTRES HISTORY BOOK AWARD ARLES(フランス)、Paris Photo-Aperture Foundation Photobook Awards(パリ/ニューヨーク)、kassel dummy award(ドイツ)のショートリスト選出など他多数受賞。 2022年、同作はCESURA(イタリア)の記念すべき第一回目のANDY ROCCHELLI GRANTを受賞 し、CESURA PUBLISHから普及版が出版された。 さらに続編として寮に残る朽ちた暗室をテーマにした写真集「吉田寮旧暗室」もkassel dummy award(ドイツ)、HONG KONG PHOTOBOOK AWARDS(香港)他多数にノミネートされ、さまざ まな国際写真フェスティバルで巡回展示された。
日 時2025年9月16日(火)~9月30日(火)11:00~19:00
場 所恵文社一乗寺店 京都府京都市左京区一乗寺払殿町10
H Phttps://www.keibunsha-books.com/
S N S
備 考※詳しくはこちらをご覧ください。

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