山本恵 個展「風のジムナジウム」

ギャラリーヨルチャでは初となる造形作家の山本恵さんの個展です。
静謐で詩的なボックスアートなどの作品で知られる氏は、近年はワイヤーを用いた球状作品で三次元に繰り出し小宇宙を展開している。
イメージの乱反射を繰り返す丸い回転木馬のようなそのオブジェは、見る者にそこに映る世界をすべて自分が手にしたような恍惚感を持たせる。
どことなく走馬灯という言葉を想起させるその造形物は、誰かの一生涯のミニチュアを眺めるような詩情を孕みつつ、 われわれが住むこの星の記憶全体のレイヤー構造のようでもある。
本展の作品の写真が送られて来た時、わたしはそこに風の流れを感じた。
目には見えない風のしわざによって、次々と景色が起ち上がるからくり。
わたしはそんなイメージを「風のジムナジウム」と名付けた。
春一番さながらに颯爽と屋根裏に現れた装置をぜひご高覧ください。
（gallery yolcha 車掌 イルボン）

誰もいない屋根裏部屋には普段と違う空気が流れているような気がする。
「ヒトの生活のための場所」じゃなくて、何か目にみえないけどそこにあるものを感じとるための空間。
今回はそんな場所のための展示になれば、と思っています。
（山本恵）

山本 恵｜YAMAMOTO Megumi　- instagram
大阪在住。奈良芸術短期大学情報デザインコース卒業後、松田豊氏に師事。
身近にあるものや廃材、自然物などで作品を制作。