12月17日(火) ~
1月31日(金)
山本美里写真展「透明人間 Invisible Mom」
「お母さんがお願いします」の一声で、この世界の大半の問題は解決できるように出来ている---
「医療的ケア児の母親」である自分を被写体にした作品集『透明人間 Invisible Mom』(タバブックス)の写真展を行います。
山本さんは第3子が障害を持って生まれ、医療的ケア児(医ケア児)の親となりました。
「医ケア児の母親」として、週のほとんどを特別支援学校の校内で待機する日々。
「気配を消してください」と求められた山本さんは、「私はここにいる」と言わんばかり、自分自身を写真に撮り始めました。
そこに写し出されたのは、「誰かのために生きる今」をそれでも楽しく生きようとする、私の姿―。
福祉、社会、制度への鋭い問いかけとユーモアのある写真の数々「お母さん」として“透明になって”生きている一人ひとりに、エールをおくるような一冊です。
2021年に著者が自費出版した『透明人間 Invisible mom』が大きな反響を呼び、山崎ナオコーラ、櫛野展正の両氏の寄稿を加え、再構成・再編集して出版したのが『透明人間 Invisible Mom』です。
刊行以来全国各地で展示を行い、同様の立場にいる方、お母さんたち、また社会の中で「透明化」されている方など、多くの方々にご覧いただいています。
社会生活のさまざな場面で“見えないもの”とされていることについて、写真を通して考えていただければ幸いです。
特別支援学校の保護者控室でただ1日が過ぎていくのを待っているだけの毎日に辟易していた頃、私は写真に出会いました。 家事、育児に追われ、徐々にぼやけていく自分自身の輪郭。 そんななか、カメラのファインダーをのぞいている間だけは、自分自身の姿がはっきりとそこにはありました。 私が日々何を見て、何を感じ、何を思っているのか。1日の終わりに、その日に撮った写真を眺めていると、私の毎日は私が思っているよりもずっと豊かなものかもしれないと写真は私に気づかせてくれました。 この写真集には、私が子どもの学校に付き添いながら、見てきたこと、感じてきたことがつまっています。 私は学校の中では透明人間でした。でも、写真は見事なまでに「透明人間」である私自身の姿を写し出してくれました。 私にとって写真は今もこれからもこの先もずっと一番の友達であり、一番の共犯者です。 「まずは知ってもらうことから始めよう」を合言葉にこれからも進んでいきますので、今後とも見守っていただけたら幸いです。 ---本書刊行にあたり、山本さんから寄せられたメッセージ
山本美里(やまもと・みさと) 1980 年東京都生まれ。写真家、医療的ケア児の母。 2008年、妊娠中に先天性サイトメガロウイルス感染症に罹患した第3子が障害を持って生まれ、「医療的ケア」を必要とする子の親となる。 その息子が特別支援学校小学部に入学するとともに、週4日の校内待機の日々が始まる。 2017年に京都芸術大学通信教育部美術科写真コースへと進み、息子に常に付き添う自分自身を被写体にした写真作品の制作を開始。 同学学長賞も受賞した一連の作品を2021年11月に『透明人間 Invisible mom』として自費出版すると、大きな反響を呼ぶ。 全国各地を展示と講演で回るさなか、2023年1月に櫛野展正氏による記事「隠された母親たち」がウェブ版「美術手帖」に掲載。 それをきっかけに、『透明人間 Invisible mom』を再構成・再編集した本書を出版。同年、別作品で「MONSTER Exhibition 2023」優秀賞受賞。 現在も医療的ケア児と特別支援学校の保護者付き添いをテーマに作品制作を続けている。