9月3日(火) ~
9月16日(月)
緒方敏明 作品展「銀河講堂」
雨は銀河から降りてくる
緒方敏明 1957年兵庫県西宮市に生まれる。1989年東京藝術大学彫刻科卒業。 絵画、音楽、詩、舞台美術などの表現を並行。 小さな建物の彫刻をつくるようになる。 1995年頃「建物彫刻」というコトバが想い浮かぶ。
「緒方君の建物を飛ぶ」舟越 桂 若い頃に観た「バーディー」という、鳥になって空中を飛ぶことにとりつかれた青年の映画が好きだった。そのあと、私はある想像をしながら道を歩くことをおぼえた。建物や塀や垣根のわきを歩く時、「今、ぼくのこの首から下は、下ではなく、頭の真うしろへ伸びているのだ」と。そうすると、私は空中をひらひらと飛んでいる感覚にひたれるのだった。緒方君の建物の内部の写真を見ていたら、久しぶりにあの感覚がよみがえってきた。 私たちは、「何ものか」になって、彼の小さな「建物」の上空や室内を飛び回ることができる。小さくなった私には、その空間が、今は見えない人間の気配で満たされているように感じる。それは、「思い」や「精神」、あるいは「祈り」という言葉に置きかえてもいいのかもしれない。「そこ」で私たちは忘れたくない場所や人と出会えるのかもしれない。そんなことを思った。 ※2020年 緒方敏明個展「海へ還る」の案内パンフレットより