12月2日(土) ~
12月18日(月)
上村亮太 展「すきとおった、たべもの」
すきとおった、もの。
すきとおった、たべもの。
ぼくは、まず、まあるいものから描き始めました。
僕は、まあるい感じのものを描くのが苦手なので、僕にとって、まあるいものは、
すきとおったもののうちの、ひとつなのかも知れない、と思ったからです。
テーブルの上の果物や、お椀や、そういったものから描き始めてみました。
それから、自宅の近くの公園や草むらも描いてみました。
草や土の匂いとかも、すきとおったものの、ひとつだと思っていたからです。
僕は、人がたくさん集まる場所は苦手だし、イルミネーションや花火も苦手なのですが、
ある日、夜の街の雑踏を歩いている時、この夜の街を埋め尽くすような大勢の人達の、
それぞれのひとりは、皆、それぞれのお母さんから生まれてきたのだな、となんとなく思って、
それからは、今までとは、全く違った目で、夜の街の群衆なども見るようになりました。
すきとおった、たべものとは、
いのちの存在、というのか、いろいろなものの、本質的な在り方のような気がします。
僕は、いつまでたっても、まあるい感じのものを描くのは苦手だし、
まったく大したことはないのですが、
上手く描こう、ちゃんと描こう、とさえ思わなければ、
絵を描くことほど楽しいものはないように思っているので、
これからも、少しづつ、自分の好きなように描いていければ、と思っています。
「すきとおった、たべもの」という言葉は、宮沢賢治の童話集の序文に使われていた言葉です。
僕が、神戸の、とある古いレストランで食事をしている時、
そのレストランの佇まいから、ふとこの言葉を思い出し、イトヘンと言う場所の存在とだぶって、
この場所での展覧会のタイトルにしようと思いついたものです。
なので、この展覧会も、今回の僕の絵画も、宮沢賢治や、その作品とは、ほとんど関連はありません。
上村亮太
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上村亮太さんの存在を知ったのは、いつだったか・・・と言うのも、40年近いキャリアを持つ、言わばベテランの美術作家で、どこかしこの展示空間で拝見していたのです。
まとめて作品を拝見して、お名前と作品が一致したのは、神戸の老舗画廊であるギャラリー島田さんでの発表でした。その作品群を拝見した時、まさに意味が分からなくて、しかし、その意味の分からなさは、観るものを突き放したものではなく、画面の奥底にぼんやりと、しかもひっそりと焚かれている炎のように感じもしました。それは、温かい灯りのようでもありました。
話はそれますが、イトヘンと言う場所を開いて、丸20年になります。当方にとってその記念すべき時に、上村さんのような実力をお持ちの方に展示をしていただくことは、大変な光栄だと感じております。ぜひ、一人でも多くの方に、作品をご覧頂く機会になれば嬉しいです。
日 時 | 2023年12月2日(土)~12月18日(月)11:00〜18:00(最終日 〜17:00) ※期間中 土・日・月曜日のみ開催 |
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場 所 | Coffee Books Gallery itohen 大阪府大阪市北区本庄西2丁目14-18 富士ビル1F |
H P | http://www.itohen.info/ |
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備 考 | ※詳しくはこちらをご覧ください。 |