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11月4日(火) ~

11月29日(土)

“neng and the wind” a solo exhibition by hai rembulan

Calo Bookshop and Cafe “neng and the wind” a solo exhibition by hai rembulan

インドネシア・東ジャカルタを拠点に活動する、画家・ZINE作家のハイ・ルンブランの日本初個展。
ペインティング、陶器、リサイクルテキスタイルなどの作品と、たくさんのZINEをご紹介します。

Neng and the Wind
Indonesian and English are below
九月、雨季が始まる。いくつもの花木が、その花びらを空へ、地面へ、アスファルトへ、肺の中へと飛ばし始める。
母の家とジャティヌガラの古い家を行き来する合間、私は、もう昔どおりとはいえない故郷と植物園に立ち寄って、ひとり座り込んだ。

今年は、地上にすべての悲しみが現れる年だった。けれども今年はなぜか、通り道に生えているカポックの木に、より深く目を向けるようになった。花が咲き、綿毛がはじけて風に吹かれ、花殻が枝にぶら下がる。やがてその綿毛は地面や、アスファルトや、道路脇の草むらに、そして肺の中にも見つかるようになった。
人間関係を消化しがたいとき、私は周囲に残された木々をよく見つめる。故郷に戻って子ども時代をテーマにしたZineを仕上げようとしたときは、墓地の前の礼拝所に咲くバンガール(百日紅)の木に出会った。小雨が降り、私は寒さに震えながら、十一歳の頃を思い出した。

「ネン(Neng)」とは、スンダでは小さな女の子の愛称だ。皆が私を「ネン」と呼んでいたけれど、さすがに二十歳ぐらいになると呼ばれなくなった。ただし、父と祖母だけは別だ。
曇っていて木々を見つめたくなるようなとき、私は自分自身に「ネン、」と語りかける。「ネン、今日はどんな気持ち?」 「ネン、大丈夫だよ」といった塩梅で。そのたびに、どこか甘やかな空気と慈しみの感覚が湧き上がる。
喘息の出た私を背負った父が「ネン、お医者さんに行こう」と言ったときのように。川で泳ぎながら、幼馴染に「ネン!」と呼ばれたときのように。遊んでいた私を、祖母が、豆腐のぺぺス(蒸し物)と長豆の昼餉に呼んだときのように。わたしがこの小さな集落で暮らす、知りたがりやの女の子だった頃のように。「ネン」という呼び名が、風と同じように自然に受けとめられていた頃のように。

ネンの物語と、ある日本人の女性ーー肺の中に生まれ、あの頃のネンが吸い込んだ風のための場所を与えてくれた人ーーとの出会いは、偶然ではなかった。

その場所に存在するのは、曾祖母の庭に落ちるスターフルーツ、私が「カシ(Kasih)」と名付けたマジカルな猫、観音菩薩、ファティマの聖母、人魚とウピット・サリマナ、スバン2000の恵み、ネンの夢、ブラン(=わたし)の恐れ、すべてを軽やかに、喜びとともに受け入れてくれる慈しみに満ちた風。そして、「いろいろあったけど、わたしたちはまだここにいて、もう一度生きていくんだね」と語り合うネンとブラン。

hai rembulan(ハイ・ルンブラン) - instagram
2013年から独学のアーティストとして活動をスタート。作品は「夢と日常生活の器」として表現されることが多く、女性やクィアの経験に関連するテーマ(月経、PMS、セクシュアリティなど)を中心に探求している。さらに、人間と自然の関係、農業問題、土地闘争、精神性、祖先、ノスタルジア、子供時代の物語といったテーマにも焦点を当てる。
2021年には、Kongsi 8(コンシ ドゥラパン)の共同発起人として活動を開始。南ジャカルタ以外の地域にアートスペースが不足している状況を受け、自身が育った東ジャカルタ・ジャティヌガラにスタジオ兼展示スペースをオープン。若年やマイノリティのアーティストにプラットフォームを提供し、友人たちと共にKongsi 8の空間を育てている。ZINEワークショップやアーティストトーク、アクティビズムのファシリテーターとしての活動も展開中。
日 時2025年11月4日(火)~11月29日(土)12:00~19:00(土曜日は18:00まで、最終日は17:00まで)
※11/5(水)は17:00まで、11/24(月・祝)は12:00~18:00営業。
場 所Calo Bookshop&Cafe 大阪府大阪市西区江戸堀1-8-24 若狭ビル5F
H Phttps://www.calobookshop.com/
S N S
備 考※詳しくはこちらをご覧ください。

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