9月17日(土) ~
9月25日(日)
「せつ」と「宇宴」 展
「せつ」と「宇宴」のご夫婦は、互いに異なるものを制作しながら、互いのモノづくりを助け合う。
奥様の「せつ」さんが手がけるのは装身具
「アクセサリーではなく大切なひとのためのお護り」を作りたいのだという。
使われている水晶は、ご主人と一緒に山に分け入り、その昔、炭鉱の発掘で出た「ズリ(昔、鉱山の採掘で出た残土)」と一緒にうち捨てられたものを拾い集める。
昔の文献や地形図など、情報のかけらを集めて地図を作り、岩場を登り、川を越え、道なき道を進んで探す。
土の中で眠っていた水晶たちは、欠けていたり、小さかったり、「カンペキ」なものとは違う姿をしている。
彼女は言う「カンペキでないから、はみ出しているから惹かれるのだ」と。
丁寧に拾い上げた水晶たちを大切に手元に置き、時が来たら、それぞれに相応しい姿に作り上げる。
真鍮パーツなどを手がけるのはご主人で、ここでも夫婦は協働する。
ご主人の「宇宴」さんが手がけるのは古民具で作るスピーカー。
音響マニアのお父さんの元で育ち、オーディオ雑誌の編集者をしていたという彼は、進化心理学的なアプローチと音響理論に基づいてスピーカーを設計する。
ペリーの黒船が来航した年に作られた箱、足踏みミシンの引き出しなど、忘れ去られ、朽ちてゆく古民具たちを、かつての用途やアイデンティティを生かしてスピーカーに作り上げる。
歴史を重ねた古民具からは数値だけでは表せない魅力的な音が奏でられる。
ご主人に寄り添い、共に古道具を選び、組み上がったスピーカーに助言をしながらクリエイティブ面で手助けをするのが奥様。
ここでも夫婦は協働する。
社会が不必要としたものを丁寧に拾い上げ、新たな命を吹き込む「せつ」と「宇宴」。
二人三脚で歩み続ける二人が手がけた装身具と古民具スピーカーの展示会です。