8月20日(土) ~
8月28日(日)
青木郁美 陶展
故郷に戻り、生産農家として作物を育てながら、陶芸家として制作活動を行なっている青木郁美さん。
設計という仕事を離れ、農業と陶芸という新たなモノづくりの分野に踏み出された異色の経歴の持ち主です。
20年ぶりに故郷に戻り、今の暮らしを始めた時に見えた世界は、草花や空、身近なものの色の移り変わりが豊かで、懐かしいと同時に、仕舞い込まれていた子供の頃の心躍る気持ちを開封し、思い出させてくれるものだったと言います。
そんな彼女がご自身の制作活動について、「草花や泥んこでおままごとをしていた ”あの頃の感覚” に近いもの」と表現したのが印象的でした。
モノを作るということが人間にとってどれほど本質的なことで、「モノづくりの原点」が何かを教えてくれる言葉のように思いました。
「身近なものを見て心踊らせ、身近なものを使って物作りをしたい。
自然物のあれこれのような、どこか頑なだけど 軽やかで優しいものに少しでも近づけられたら。」
彼女の生み出すものたちは、そんな思いのままの「かたち」と「空気」を宿しています。
(身近なものでのモノづくり)
白い器にはりんご灰釉が使われています。
青木さんのご親戚がりんご農家を営んでおられ、剪定した枝をお風呂の焚付けに使い、できた灰をもらって釉薬にしているそうです。
瞑色と名付けられた青色のシリーズは、お庭の杉の木を薪にして、お友達に作ってもらった薪ストーブで燃やした灰を釉薬にして制作しています。(着色には呉須を使っています。)
〝瞑色〟とは、夕暮れ時の仄暗い空の色の名前だそうです。
今後は土や灰などの原料も、ご縁のある身近な人から頂いたものを使う割合を増やして行きたいとおっしゃっていました。