naruhiko個展「mood」

近所を歩いていると、どうでもいい風景が急に気になって立ち止まることがある。
仲良く隣り合った2本の木だったり、丁寧に整列された植木鉢だったり。
工事で周囲が突然すっきりして、妙に存在感を持ち始めたその小屋をつい描きたくなったりする。
赤いコーンが静かにそこに佇んでいて、それだけで場の空気がすこし違って見えることもある。
そういう瞬間をそのまま描いている。
画面に人はいないけれど、そこで暮らす人々の気配は残っていて、ぼんやり絵を眺めているとふわふわと漂ってくる。
人工的なモノと自然物の同居、単純化された色や形、それらをもって描かれた風景は、自分の身近な場所でもあり、
どこか遠くの知らない場所のような気もする。
懐かしいような、寂しいような、でも少しハッピーな気分にもなる。
絵を並べてみると、それぞれの緑色がつながって、部屋全体がやわらかくなる。
空気が少し緩んで、呼吸が深くなる気がする。
これをなんと呼べばいいんだろうと考えて、今回は「mood＝気分」というタイトルにした。
日常と非日常のあいだにふっと立ち上がる、そんな気分。
自由にみてもらえたら嬉しいです。

naruhiko（なるひこ）