2月27日(木) ~
3月5日(水)
杉浦今日子展「永遠と青」
「ヨーロッパの古い絵画技法『テンペラ』は顔料の色を忠実に発色する。
経年による劣化、変色もない。西洋に残る中世の絵画が鮮やかな色合いを残すのはこの技法によるものだ。
今回の作品はそのテンペラ絵具で色を付けた。どこまでの未来にこの青が残るのか。
初めて「時」を意識した作品となった(杉浦今日子)」
パリに長く住み、ハイブランドのオートクチュール刺繍の職人として活躍する一方で、刺繍アーティストとしても表現をしてきた杉浦今日子。
今展はテンペラの技法に着目したところから制作が始まったそうだが、「時」を捉えているという。
時を遡るような、または時が止まったような建築や場が残るフランスと、変化の激しい日本との往来により必然的にこのテーマに導かれたようにも思う。
今回はいっそう“糸”にこだわって作品を制作した。
「とにかく美しくしたかった。「はっとする美しさ」みたいなものを表現したかった」
と話す杉浦の思いの一つには、世界中で塞ぎ混みそうなニュースばかりが目にも耳にも入ってくる中で、そういうものに負けない美を出したかったという意図も含まれている。
ワッツで3回目の発表となるが、15年のパリ暮らしにピリオドを打ち、昨年末に帰国して初めての展、作家自身にも新しい扉を開くものになる。
- 杉浦今日子 - 東京で刺繍作家、講師として活動ののち、2009 年に渡仏。 世界第一線のファッションブランドのオートクチュール刺繍を手がけるパリのアトリエで職人として仕事をしながら、その技法を自身の創作に採り入れ、世界でも他にない芸術表現を発表する日本人アーティスト。