7月6日(土) ~
7月14日(日)
池田晴美 作品展
高度な伝統技法が生み出す日用工芸品。
それが池田さんの作品です。
可愛らしいケトルにもその技術は用いられており、mm(ミリ)以下の単位で行われるその仕事は、神技としか言いようがありません。
(池田さんのモノづくりについては次回お話をしたいと思います。)
「伝統的な硬い技術も、日用工芸の品物に役立っていたりします。」
こう話す池田さん。
伝統技法を学び、それに縛られ、そして再び自由になれた彼女だからこそ言える言葉のように思えました。
子供の頃から、物を作ることは「自然な行為」だったという池田さん。
芸術高校で金工を専攻し、伝統技法を学ぶために金工で有名な富山の大学へ進学しました。
大学で高い技術を身につけた彼女は、作り手としてできることが広がりました。
しかしその一方で、学んだことに縛られてしまい、素直に制作することができなくなってしまったと言います。
そんな中、彼女の転機となったのは、市から依頼されたワークショップの開催でした。
「日常生活に親しみのあるものを、肩の荷を上手に降ろした状態で作れるようになった」
そう彼女は振り返ります。
伝統技術を学ぶことは、技術的にはもちろんのこと、思想的にも逸脱し難い「枠」のようなものがあったのではないかと思います。
それらは彼女を作り手として高みに導く一方で、そこに縛り、作り手としての自由を奪っていったのではないでしょうか。
ワークショップを通じ、純粋にモノづくりを楽しむ人々を目の当たりにすることで、彼女の中に再び子供の頃の感覚が蘇ってきたのかもしれません。
彼女は今年、非常勤講師として母校の大学で教えています。
作り手としてたくさん苦悩をした彼女は、技術だけでなく、作り手として生きることの厳しさや楽しさも伝えられる、そんな魅力的な先生なんじゃないかと思います。