5月16日(火) ~
7月17日(月)
牧野伊三夫展「塩と杉」
海辺の製塩所と、山の林産地をたずねて
太古の昔から、人は自然と共生し、その恵みを受けて命をつないできました。
本展は画家・牧野伊三夫が、そうした人々の営みを見つめるなかから生まれた作品と活動を紹介するものです。
展示前半の塩のパートでは、海辺の製塩所から生まれた新作絵本『塩男』(あかね書房)を取り上げます。
福岡県の糸島半島にある製塩所を取材して描いた同作のスケッチや原画などの関連資料とともに、全長10mを超える壁画によって作品の世界を展示紹介します。
展示後半の杉のパートでは、岐阜県の高山市と大分県の日田市で牧野さんが取り組む活動を紹介します。
今から13年ほど前、アートディレクターの友人に連れられて高山市の老舗家具メーカー飛騨産業を訪れた牧野さんは、やがて同社の広報誌の制作に携わるようになり、その後キッチン用のワゴンをデザインするなど、さまざまな活動へと発展しました。
一方日田市には、牧野さんは最初、山で働く木こりの人たちを描くために訪れました。
そして、地元の人たちと地域の林業を応援する「ヤブクグリ」という会を発足することになります。
「いま、森を見よ!」をスローガンにかかげて行う「林業体験弁当」の商品開発や家具づくりなどのユニークな活動を紹介します。
私たちの暮らしは今、効率や利便性を求めることが当たり前となってしまいました。
本展をきっかけに、いま一度生活の原点に立ち返り、その豊かさについて思いをめぐらせていただければ幸いです。