4月15日(土) ~
4月23日(日)
大迫友紀 個展 「float」
大迫友紀さんという作家さんは、いつも自分と闘っている人。
そしてとても正直な人だと思っています。
彼女は今、「大きく変わらなければいけない」と感じているそうです。
これまでとは違うものを生み出したくて踠(もが)き、でも思うようにいかなくて、そんな自分にがっかりしているのだと言います。
求められるものを日々こなしながら新しいものを生み出すこと。
今の自分から抜け出たいと願うこと。
それが作り手にとってどれだけ苦しいことなのか、モノづくりをしない私には想像もつきません。
想像もつかないし、想像もできないけど、それがモノづくりをする上で、モノを作り続けていく上で、なくてはならない大切なことであることは分かります。
彼女はいつも、そんな自分の思いと正直に向き合い、悩み、そして成長してきた作家さんだと思っています。
そんな大迫さんの新たな挑戦が「float」シリーズ。
ガラスの中に色を流し込んで作ります。
材料の中を見通せるガラスだからこそでき、表面だけではない、ガラスの奥行きがより感じられる作品たち。
色の流れや濃淡など、人の手ではコントロールできない偶然性。
その偶然性をより面白いものとして導き出すための形。
人の手が意図的に生み出した「形」が、意図できないことに与える影響を見定めながら、その落とし所を見つけてゆく。
結果をコントロールしようとするのではなく、かといって偶然への丸投げでもない。
それは「自分の外」にあるものと、「自分」との理想的な関わり方のようにも思えます。
悩んで、凹んで、でもいつも前を向いて歩み続けている大迫さんだからこそ、今の彼女があるのだと思います。
そんな彼女の姿を、新しい作品たちを通じて感じていただけたら。
そんな風に思っています。