9.地域の森林を地域で守る

2012年5月に美濃市片知地区住民を中心に林業グループ「山の駅ふくべ」が設立されました。メンバーはーVOL.6で紹介した「美濃市ふくべの森入会林野再生モデル事業」の研修会に参加した地元の住民が中心です。当地で実施された研修会は、分収造林契約を解除した地域の共有林の管理を地域の人材によって実現していこうという目的で実施されました。林業グループ「山の駅ふくべ」の誕生は、その目的である「地域の森林を地域で守る」を具現化するための第一歩です。

 

未利用の間伐材を薪に

事業地の共有林は、昨年度から水源の森づくりを目指した間伐事業が開始されました。50年生を超すスギ・ヒノキの間伐や作業道の開設は、私の所属する地域のNPOが事業を請け負いました。昨年は約5haの間伐事業地から240㎥の間伐材を市場に出しましたが、林内には曲がり材や小径木といった市場性の低い間伐材が林地残材として残されていました。この未利用材をなんとか資源に変えることができないだろうかと、林業グループ「山の駅ふくべ」の薪づくり事業がスタートしました。
 
スギやヒノキの針葉樹は一般的には薪には向かないと言われていますが、その特性を理解して利用すれば問題ないことも分かりました。最近では、中山間地に新築される家に薪ストーブを設置する方も増えており、県内のホームセンターでは薪ストーブ用として針葉樹の薪も売られるようになりました。薪として利用するならば、少々曲がっていても、小径木でも問題ありませんし、建築材のように3mとか4mの長さの丸太を搬出する必要もありません。これなら地元の林業グループでも楽しみながら作業が出来ます。
 
そして、この作業はかつて当たり前に行われていた山村の生業そのものなのです。入会林活用が盛んだった時代には、伐採跡地から地域の人が薪材を入手することは当たり前に行われていたことなので、だから、地域の人もそのDNAが甦り自然と体が動くのだと思います。作業を見ていたおばあちゃんが言いました「昔は秋になると他の仕事は休んででも、その冬に使う薪を作るのが一番大事な仕事だったよ」と。

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