上海

景徳鎮から新幹線で4時間、中国の経済・文化の中心地である上海へ。

上海多倫現代美術館(多倫路27)

上海多倫現代美術館は、1920年から30年代には魯迅、郭沫若をはじめとする中国の近代文学者たちが暮らした多倫路文化名人街にあります。ここはかつて旧日本人居住区でもあり、日本人にとってもゆかりのあるエリアです。上海多倫路現代美術館では、中国の若手アーティストを紹介する展覧会を継続的に行なっており、私が上海で必ず訪れる美術館の1つです。私が気になったのは、胡彦平(Hu Yinping)による『安全感』(2018)という作品。「もし誰かがあなたと家族の安全を脅かすとしたら、あなたはどんな武器を使いますか?」という問いの答えとして、彼女は毛糸を使って武器を作りました。この作品は、作家の家が大家によって違法かつ暴力的に取り壊されたことから生まれたそうです。カラフルなニットには、彼女の怒りや恐怖の記憶が編み込まれています。

外灘エリア

かつては租界地だった上海の街並みは、カフェやレストラン、ギャラリーが軒を連ね、私がフランス留学時代に訪れたパリを思い起こさせます。上海には、西洋風の建築群、南宋時代から続く古い街並み、そして現代的な高層ビルが共存しています。なかでも外灘(ロック・バンド)は、古い建物が多く残されているエリアです。ここに立ち並ぶ歴史的な建造物群は、シノリンクとロックフェラー・グループにより、次々とリノベーションされ、およそ17年かけて再開発が行われました。鉄筋コンクリート造りの「真光大楼」(Trure Light Bilding)は、ハンガリーの建築家L.E.ヒューデックが設計したアールデコ様式の建物です。1930年から1932年にかけて建てられたビルには、有名スキンケアブランドや書店などが入っており、優雅な存在感を放っています。

徳大西餐社(南京西路473号)

上海料理といえば、上海蟹や小籠包。ただ、上海料理を提供するレストランは少し値が張ります。国際都市である上海を訪れたときには、地方ではなかなか食べられないお寿司やイタリアン、スペイン料理やタイ料理のレストランに行くことが多いです。(これが私にとって「上海料理」なのかもしれません・・・)今回訪れた「徳大西餐社」(徳大洋食店)は、上海第一号の西洋料理店です。店内は、いわゆる西洋風インテリアで装飾され、80年代の上海映画のセットのような空間した。ボルシチのスープ、サラダ、ガーリックトースト、メインには白魚のムニエルを注文しました。当時は上流階級向けのレストランだったそうですが、ランチのお会計はひとり1500円ほど。外には、「徳大西餐社」の解説が記されていました。「上海が開港して以降、西洋化が進み、華人によって1897年に1軒目の徳大西餐社がオープンしました。この100年間で、多くの上流階級の人びとが徳大西餐社に集いまいした。また多くの恋人たちにとって、ここは初恋の思い出の場所でしょう・・・。徳大西餐社は、オールド・シャンハイの洋食とカフェーのシンボルであり、2008年2月7日に、現在の場所に移転しました。」