江蘇省揚州市

友人に誘われ、江蘇省揚州市を訪れることになりました。聞きなれない地名ですが、揚州は古名で広陵、江都、維揚と呼ばれ、古代から経済・文化が盛えた古都として有名です。揚州には、中国最古の運河をはじめ、霊廟、城跡、私家園林、鑑真和上が住職を務めた大明寺、痩西湖(人工湖)など、数多くの名所があるため、中国では人気の旅行先。ちなみに、以前ご紹介した宜興市と同じ江蘇省にあり、上海から新幹線で3時間で訪れることができます。

観て

何園(扬州市徐凝门街66号)

何園は、清代末期の1858年に何芷舠という高級官僚が造った庭園付きの自宅、いわゆる私家園林(中国の古典園林は、皇家園林、私家園林、寺観園林に分けられる)で、揚州の名園の1つとして知られています。現在は公園として一般公開され、国の重要文化財に指定されています。なかに入ると、中国庭園には欠かせない大湖石(穴が沢山空いている奇石)が、存在感を放っています。個人的には、二階建ての回廊や、壁に施された空窓(くり抜き窓)が、映画のセットのようでワクワクしました。また居住スペースでは、パリ留学を経験した主人好みの、中洋折衷の建築洋式やインテリアを楽しむことができます。

中国大運河博物館(广陵区东南新城运博路1号)

中国大運河博物館は、中国初の「運河」をテーマとする博物館です。北京から、揚州を通過し、杭州へと至る「京杭大運河」は、全長1794km。世界で最も長く、また最も古い運河のひとつとして、世界遺産に認定されています。万里の長城、新疆のカレーズ(地下水路)と並び、中国の三大工事と言われる京杭大運河は、紀元前5世紀に開削が始まり、6世紀に隋の皇帝が完成させました。中国大運河博物館には、京杭大運河にまつわる、ありとあらゆる文化財が1万点(組)以上展示されています。南朝時代に運河の両端に置かれた巨大な石像のレプリカや、工事中に発掘された唐の陶磁器も見ることができ、思いのほか楽しむことができました。

渌洋湖湿地公園(扬州市江都区邵伯镇渌洋湖村)

湿地をドローンで撮影したい!という友人の希望もあり、揚州の中心部から車で1時間ほどかけ、渌洋湖湿地公園にやってきました。観光客も少なく、マニアックな観光地です。実は中国に来て以来、休みのたびに、山や森、湖、茶畑、竹林、ダムなどに案内してもらいましたが、中国の人びとは、自然を訪れることが本当に好きだな、と感じています。こちらの公園では、養魚池に植樹されたセコイアの木々の間をボートで回遊することができます。水面は浮草に覆われ、まるで緑の絨毯のようでした。ボートのレンタルはひとり1000円(45分)。このようなアクティビティは中国の観光地でも珍しく、特別な体験ができました。

渌洋湖湿地公園
撮影:黄さん
渌洋湖湿地公園
揚州炒飯

深夜にお腹が減いたので、ホテルの周辺で見つけた揚州炒飯店へ行きました。日本人にとって中華の定番と言えば、炒飯。そのルーツは揚州炒飯にあるようです。揚州炒飯は、ソーセージやねぎ、店によっては、エビやにんじんなどが入った、ごくシンプルな玉子炒飯です。パラパラとして、塩・胡椒のみの優しい味わい、赤・黄・緑の綺麗な彩りが特徴です。地元の食堂や、夜の屋台、人気のレストラン、大体どこへ行っても、揚州炒飯は10元(200円)程度でいただくことができるのも、嬉しいポイントです。ちなみに、中国国内であれば、揚州炒飯はどの土地でも食べられますが、折角なので本場の味を楽しみました。店内は23時頃にも関わらず、地元の人びとや観光客で賑わっていました。

揚州炒飯