河南省洛陽市

洛陽は中国・河北省の西に位置する都市で、北京・南京・西安と並ぶ四大古都として知られています。黄河流域の重要な中国文化の発祥地の一つで、古代中国の首都として1500年以上の歴史があります。世界遺産の「龍門石窟」や、中国仏教の発祥地である「白馬寺」が有名です。今回、筆者は日本に一時帰国中のため、洛陽を訪れたパートナーにレポートしてもらいました。中国では観光地化によって景観が似たり寄ったりすることが多いのですが、洛陽やその近郊の西安は、古い街並みが残された貴重な観光地で、私も是非訪れてみたい場所です。

洛陽博物館 洛陽市新安県 聶泰路 世紀広場19

歴史的な文化都市として、洛陽を訪れる際には洛陽博物館の見学が必須です。博物館は、河洛文化館や唐三彩館など、6つのセクションに分かれています。河洛文化館では、夏、商、周、漢、魏、隋、唐代の洛陽地域から出土したさまざまな文化財が展示され、経済、文化、政治の様相が時間軸で表現されています。唐三彩館では、洛陽周辺地域から出土した大量の唐三彩が収蔵されています。唐三彩とは、唐代に作られた低温釉陶器で、1900年代に洛陽の邙山(ぼうざん)で発見されました。これらの唐三彩は、国史上唯一の女帝・武則天(則天武后)から武后の孫・玄宗の盛唐時代に多く生産され、主に葬儀に使用されたそうです。多様なテーマ、大胆な造形、鮮やかな色彩は、盛唐時代の多元的で包括的なムードを示唆しています。

北魏時代(386年〜534年)の洛陽市永寧寺からの出土品

龍門石窟

洛陽の都市設計は、前の王朝の遺跡を基に継続的に改築されており、夏(紀元前1900〜紀元前1600年頃)から現代までの数々の文化財や史跡がここに集まっています。洛陽出身の友人が言うには、「洛陽では遺跡が見つかると建設が一時停止になるほど、都市開発には慎重です。なぜ市内にたくさんの公園があるか知っていますか?これらの公園は、すべて旧市街の遺跡の上に建てられています。」

龍門石窟は、「雲崗石窟」「莫高窟」「麦積山石窟」とならんで、中国四大石窟と言われている中国の仏教造形芸術です。大小10万体もの仏像は、河の両岸に1kmに渡って並んでおり、それぞれの石窟を訪れるたびに、急峻な石の階段を登らなければなりません。旅程は遠く険しいものですが、これらの仏像を直接見ることができると、すべてに価値があると感じます。特に、ルシャナの大仏(盧舎那、龍門石窟のメインの仏像)の前に立つと、その巨大な姿勢と優しい表情に圧倒され、古代の職人の優れた技術と僧侶の信心に感嘆せざるを得ません。

麺料理

河南省は中国・北方地域に位置し、地元の人々が最も好む食べ物は麺料理です。普段の主食として、米飯の代わりに麺を使います。洛陽でも様々な種類の麺料理が楽しめます。麺を食べる際には、欠かせないのがスープ。地元の人たちは麺を食べることを「スープを飲む」と呼んでいます。友人が私を連れて行ったのは、老城区のチェーン店で、羊の内臓スープ、つけ麺(麺片)、そしてパンを注文しました。スープには適量の唐辛子油を加え、つけ麺を羊の内臓スープに浸して食べます。歩道に置かれたテーブルで食事を楽しむことができます。食事は20元(400円)以下で、コストパフォーマンスが高く、ボリュームも十分です。

かつて金沢の美術大学で漆を学んでいた友人。片町のアルバイト先で得た、ワインとカクテルのテクニックを故郷・洛陽に持ち帰り、「speak easy」(アメリカ禁酒法時代の「潜り酒場」を意味する)をテーマとしたバー「bar intro」をオープンしました。彼は他のバー経営者とは異なり、日本で学んだ品評の知識を広め、人々がワインを理解し、愛することを望んでいます。店のデザインも独創的で、入口の暗い扉は閉ざされており、ベルを鳴らすと従業員が扉を開けてくれます。入り口には細長い廊下があり、廊下の一側にはハイエンドな古美術品が陳列されています。大広間に入ると、ドーム型の天井、バーカウンター、酒棚があり、空間全体の内装スタイルは、古くからの日本のウイスキーバーとミニマリズムが融合したものです。空間だけでなく、店内の酒類も非常にこだわりがあり、高品質なボトル酒や定期的に新しいストーリー性のあるカクテルが提供され、訪れた人を魅了することでしょう。現在「bar intro」では、漆器を販売するギャラリースペースを作っており、近々オープンする予定です。

文:陳恂浪 翻訳:清水冴