重慶市

 
GWはパートナーの陳さんの実家を訪ね、重慶市にやってきました。重慶は、北京・上海・天津に並ぶ行政区画(直轄市)であり、人口 3,000万人と世界で最も人口の多い都市。そして重慶の最大の魅力といえば、重慶料理(四川料理)と呼ばれる食文化です。そのため、今月の「食べて」のご紹介がつい長くなりました。

張義 《福60耳順9988823(白色)》

龍美術館は、中国で最も有名な現代美術館の1つで、上海に本館、重慶に分館があります。龍美術館・重慶館はちょうど、10周年記念のコレクション展「多重景观」を開催していました。出品作家の張義(1936-2019) は、中国の現代作家の1人。《福60耳順9988823(白色)》(2008)は、古代中国の占い(八卦)に用いられるの道具(甲骨文)をモチーフに、紙を素材として表現した不思議な作品です。タイトルの「60耳順」は、孔子の著書『論語』の一節、「60歳で人の意見に耳を傾けられるようになった(六十而耳順)」から引用されています。作家は自身の人生に想いを馳せているのでしょうか。

张义,《福60耳順9988823(白色)》(2008)
混凝纸,122 x 122cm 
(引用:https://mp.weixin.qq.com/s/Co6LuZj59wO4poY_q7pFQg)
张义,《福60耳順9988823(白色)》(2008)
混凝纸,122 x 122cm
(引用:https://mp.weixin.qq.com/s/Co6LuZj59wO4poY_q7pFQg

龍美術館・重慶館
江北区嘴聚贤岩广场9号国华金融中心A栋1-3层

歩いて 鹅岭公園(渝中区鹅岭正街176号)

重慶は、山と川(長江とその支流の嘉陵江)に挟まれた、起伏のある地形に作られた都市のため、「山城」(あるいは「8Dの都市」)と呼ばれます。波打つような急斜面なので、「歩いて」というよりは、登ったり降ったりしているようなのです。鹅岭公園は、清の時代の商人・李耀庭の庭園から、中華人民共和国の建国を経て、公共の公園となりました。なんともかっこいい「石縄橋」も、清の時代に造られたものです。緑豊かな公園内には、卓球をしたり、ボードゲーム(シャンチー)で遊んだりして過ごす人びと。のんびりとした重慶人の地域性が伺えます。坂の上にある公園の入り口から、少し歩く(登る)と、重慶の絶景が一望できました。

食べて 重慶の郷土料理

中国の人びとはおもてなしが大好き。あるホームパーティに行くと、他のゲストの方に「今度はうちの田舎に食べにおいで!」とまたまた招待を受けました。重慶の田舎って・・・ドキドキしながら向かうと、お庭が素敵な可愛いらしいお家が待っていました。ここは、ホストのおじさんの旧家で、現在はお母さまがひとり暮らしのため、ご兄弟と1ヶ月ごとに交代しながら滞在しているそうです。老後はお酒造りをしたいらしく、準備中の酒蔵も見せてくれました。旧家への深い愛情が感じられます。 

キッチンを覗いてみると、前回のホームパーティに招いてくれたおじさんが、再び料理をしていました。「彼が一番、作るのが早いんだ!」とのこと(重慶は、家庭で料理を担う男性が多いことで知られています)。焼き川魚には、たっぷりの山椒と唐辛子がのっています。重慶料理のソウルである「麻辣(マーラー)」の由来は、沢山の香辛料によって、夏の蒸し暑さと冬の厳しい寒さを乗り切るためと言われます。食卓から溢れる、10種類の料理は、自家製の大根の漬物と骨付き豚肉のスープ、日本で食べたことがないほど新鮮な皮蛋(ピータン)とピーマンの炒めもの、牛肉とじゃがいもの煮込み、白鳥の煮込み、中国の食卓には欠かせない胡瓜のたたき、など。薪で作る料理は、一段と風味が香ばしいのです。そして、中国で最もポピュラーなお酒、白酒(バイチュウ:高粱やトウモロコシなどを原料にしてつくられる蒸留酒。アルコールは50〜60度ほど)を飲みながら、料理を楽しみました。