江蘇省宜興市

 

紫砂急須(作家:尹祥明)

現在、私が住んでいる中国・江蘇省の宜興市は、中国茶器を代表する紫砂急須の産地として親しまれています。急須のルーツと言われている紫砂急須は、明の時代に起源し、約500年以上の歴史がある焼きものです。ちなみに、愛知県・常滑市を産地とする常滑焼は紫砂器の影響を受けたと言われています。中国には「以茶会友」といって、「茶を通じて友人になる」という意味の諺もあります。今なお重要な社交ツールの一つとして、中国の人びとは中国茶を日常的に楽しみます。宜興のあるギャラリーで見つけた、尹祥明さんによる紫砂急須は、レザーのような表面の質感と、スティッチが施されたような縁取りが特徴的です。一般的に紫砂急須は、片手の手のひらに乗るくらいの小ささ。このサイズ感が可愛いのです。

蜀山古南街(宜兴市东坡东路与蜀山街交叉口东360米)

古い街並みが残る蜀山古南街は、宜興の観光スポットとなっている文化保存地区です。明・清時代から続く紫砂器の拠点として、アトリエ、ショップ、カフェ、レストランで賑わっています。長さ1キロメートル、幅3メートルのメインストリートは、築100年以上のレンガおよび木造の建築が軒を連ねます。そのほとんどは、紫砂器の職人や修行僧が借り、アトリエや住居として使用しています。隣接する漓川には、今なお大小さまざまな木造船が行き交い、漁師や農民が魚や野菜を運びます。かつてはこの川を通って、紫砂器が全国に運ばれたのです。

蜀山古南街
量光素食(宜兴市解放中路46号)

ベジタリアンの友人に連れられ、仏教徒の経営するレストランへ行きました。中国の大衆向けレストランとしてはとても珍しく、静かで、小綺麗で、内装は(赤ではなく)緑で彩られています。レジの隣では仏典も販売。店内は微かに線香の香りが漂い、経文をアレンジしたBGMが小さく流れ、壁に書かれた「素食能拯救地球生命共同体(素食は地球の生命を救う)」というフレーズに、心癒されます。野菜、お米、饅頭、さまざまな豆腐などを使ったおよそ50種類の精進料理がバイキング形式で食べられます。どれもすごく美味しくて、優しい味わい。そして、1人20元(400円)というお安さ!

量光素食
量光素食