雲南省 昆明市・建水県

2月初めの春節(旧正月)は、パートナーの地元である重慶に帰省してお墓参りをし、車で片道10時間かけて雲南省へ遊びに行きました。雲南の省都である昆明と建水という2つの街を訪れ、10日間ほど過ごしました。中国の南西に位置する雲南省は、ベトナム、ミャンマー、ラオスと国境を接しており、日本とほとんど同じ面積があります。戦争や文化大革命の中心地から離れた雲南には比較的多くの歴史的文化財が現存しています。25の少数民族が暮らす常春の雲南は、これまで訪れたどの地域ともまた異なる雰囲気で、中国って広いなと、つくづく思う旅行でした。

雲南竹籠

雲南には250種類以上の竹が生息しており、竹籠の生産が有名です。赤子は竹籠に入れて育て、死者の遺骨は竹筒に入れられ竹林に吊されるという風習もあるそうです。あちこちで竹籠を編んでいる人や、竹籠の露店を見かけます。露店のお母さんによると、田舎の職人さんが小さなものは1日、大きなものでも2日で編んでしまうとのこと。それを買い取り、このように観光客に売っているそうで、お母さんもシンプルなものなら編めるよ、と話してくれました。竹のいい香りと、人間の手技に感心しながら、一つ一つ形が少しずつ異なる竹籠をじっくり選びました。私は小物入れとして使っていますが、それぞれ餅米を炊いたり、野菜を洗うためのもの、雲南はお茶の産地なので、茶葉を入れたり、菓子受けを入れたりするといった用途があるそうです。ちなみに来月6月14日~、金沢市の書店「6号室」にて、雲南で買い集めた竹籠を販売しますので興味のある方はぜひ遊びにいらしてください。

竹籠
建水紫陶街・建水古城

昆明の南、新幹線で1時間半の小さな街「建水」。初めて聞いた建水という街は、「建水紫陶」(ジェンスイズータオ)の産地として知られており、今回は陶芸家のパートナーの希望で行ってきました。建水の観光地の一つ、建水紫陶街には急須をはじめ、茶器や鍋を置いたお店がずらりと並んでいます。清の時代に生産が始まった建水紫陶は、当初は雑器がメインに作られ、後に雲南でアヘンの栽培が盛んになると、文人たちがオーダーした陶器製パイプが作られました。博物館では、当時のパイプを見ることができます。アヘンが禁止になると、次に汽锅鸡(チゴジ)という鶏肉の蒸し料理に使う蓋付き鍋の作られました。このような変遷を経て、現代では「建水紫陶」とは主に急須のことを指します。この急須は、一般的な中国茶急須でイメージされる宜興の「紫砂急須」の造形を模倣しながらも、より効率の高いろくろを使った分業によって作られます。

建水のもう一つの観光地は、建水古城と呼ばれるエリアです。建水古城は唐の時代に建設が始まり、およそ1200年の歴史があります。立派な赤い門をくぐると、観光客向けのお土産屋が軒を連ねます。私は2月の雲南の暑さに耐えられず、民族衣装のブティックで夏服を購入しました。建水古城から電動バイクで20分ほどの場所にある清の時代の石造りの橋(乡会桥)も素敵でした。建水はのんびりした街で、車のクラクションを聞いた記憶がありません。ここでは人々もゆっくり暮らしているのかもしれません。

雲南米麺・包浆(バオジャン)豆腐

雲南料理は基本的にあっさりして少しの酸味があり、タイ料理のような味付けです。レストランで食べた雲南米麺は、まずお皿に綺麗に並べられた色々な食材(きのこ、ハム、豆腐、ザーサイ、魚や肉など)が出てきました。そして熱々のスープにこれらを入れて、最後に麺を入れていただきます。ちなみに建水の地元の米麺のお店では、具材は最初からスープに入っていますが、さらにたっぷりのミントを入れて食べました。

昆明では「建水○○」と書かれた屋台を何度も見かけましたが、建水は雲南でも美食の街として有名です。とにかく美味しかったのは建水のローカルフードのお豆腐。お店の人がひっくり返しながら炭火でじっくり焼いて出してくれるのは、外側が固くて中身がとろとろしている「包浆豆腐」と、外側がもっちり固くて中身もしっかりしている「臭豆腐」です。これまで食べたことのない豆腐の食感を楽しみました。臭豆腐には少し発酵臭があってクセになる美味しさです。これらをそのまま食べたり、辛酸っぱいソースに付けていただきます。中国料理の多様性にはいつも驚かされます。