3月2日(土) ~
3月10日(日)
村上圭一 木工展
「木という素材の持つ魅力は、木目、色味、割れ、節、虫食いなど、(木が)自然の中で生きていた痕跡だと思います。
その表情を生かし、魅力を引き出せる表現をしながら、道具としての機能を持たせるように意識しています。」
木工作家 村上圭一さんは、ご自身のモノ作りについてこうおっしゃいます。
木に残された生の痕跡は、素材ごとの差異であり、それは作り手にとって必ずしも歓迎すべきものではないと思います。
差異を掬い上げて生かそうとすれば、モノ作りは非効率になり、面倒なものになると思うからです。
しかし彼は意識してそれを行うのだと言います。
「作りたいものは日々頭の中にイメージされますが、忘れてしまうものもあります。
そうしてずっと頭に残り続けているものが作りたいものということになりますが、素材と出会った時にその形がはっきりと見えたものが作りたいものだと思っています。」
素材と出会い、向き合うことで見えるもの。
生の痕跡を掬い上げ、それを生かすためのモノ作り。
それはたとえ同じ形であっても、決して同じものになることのない、そんなモノ作りの在り方なのだと思います。
それは木に対する彼の深い敬意の表れであり、作家 村上圭一さんの「生」に対するスタンスそのものなのだと思います。
私たちは彼の作品のすべてに、その多様な生の痕跡を見出すことができます。
そしてその痕跡こそが彼の目線であり、彼の作品の魅力です。
作家 村上圭一さんが作品を通して私たちに見せてくれる、そんな温かな視線と出逢いに来てください。