
港の朝市といえば、とれたての海鮮をお手頃に買えるだけだと思っていませんか? そんなイメージはひっくり返るような、とにかく元気で楽しい港の市、それが「大磯市(いち)」です。「大磯全体を市(いち)にしよう」をコンセプトに、メイン会場のミナト(大磯港)で開催されるマーケットと、マチナカ(町内各地)店舗やギャラリーのイベントが連携したりと、大磯という町がまるごとイチになっているのです。大磯港では以前、漁協主催の魚市が開催されていましたが、「もっと港や町を盛り上げていこう」と、地元のNPOや漁協、商工会などが中心になって実行委員会を発足。そして、旬の野菜や地場の特産品、地元アーティスト作品などを販売する、新しい形の港の朝市、大磯市が生まれました。
2010年9月の立ち上げ当初は、地元の知り合いに声をかけるなどして16店舗の出店からスタートしたそうです。その後、回を重ねるごとにじわじわと人気が拡大。3周年を迎えた現在の出店者数は約10倍!「定員以上に集まる出店者から選考するのもひと苦労です」と、うれしい悲鳴も聞かれます。私も初年度から何度か訪れていますが、出店者も来場者も格段にパワーアップしてきたなあと実感しています。「港へは車じゃないと無理?」なんて心配もご無用、東海道本線・大磯駅から徒歩で行けるのも魅力です。都心からほんの1時間なのに、大磯駅に降り立ち、海と山に挟まれた穏やかな風景を目の当たりにすると、はるか遠くまで旅をしてきたような開放感を味わえます。
まず、漁協では8時半から朝に水揚げされた魚の販売が始まり(但し、整理券入手のために多くの方が早朝から並ぶそう!)、大磯市は9時からの開催です。もともと地元の店主や、将来は大磯界隈でお店をやりたいという人を応援する場としてスタートしていることもあり、出店者は大磯や近隣エリアを活動拠点にする方が多いそうです。
地元精肉店の大磯コロッケ、老舗蒲鉾店のできたてさつま揚げ、地魚を焼いてその場で味わえたり、若手店主の作るパンやお菓子、手づくりソーセージのホットドッグやスープカリーほかを提供するキッチンカーなど、飲食のジャンルも多彩です。おいしいもの片手に、潮風に吹かれながら隣接する芝生公園でピクニック気分を楽しめるのも気持ちがいい!また、魅力的なクラフト系の出店者も多く、雑貨好きは財布のひもが緩んでしまうかも。他にも、音楽ライブから大磯を知り尽くしたベテランガイドによる「大磯マチナカ散策ツアー」までイベントも盛りだくさん。次回10月は「大磯うつわの日」 というマチナカイベントも同時開催されるそうです。さわやかな季節の大磯へ訪れるのが、今からとても楽しみです。