店先のウッドデッキやグリーンが生い茂る外観は、森の中の小さなお家……そんな印象です。三軒茶屋の商店街を抜けて、少し住宅街に入ったところにある「klala」は、暮らしに溶け込み、彩りを与えてくれる選りすぐりの生活雑貨を、国内外から集めているセレクトショップです。
インターネット販売からスタートしたklalaが、実店舗を開店させたのは2010年1月20日。その前に「スペースはもう空いているので、お店の紹介とご近所への挨拶も兼ねて12月にマーケットのようなものをやってみたら?」と、大家さんからサプライズなご提案があったそうです。klala の「SUNDAY MARKET」はこうして誕生しました。「あのとき、大家さんのひと言がなければはじめていなかったかも」と語るのはklalaの店主・滝沢さん。ご縁とかタイミングというのは本当に不思議なものです。
それから、お店の歩みに合わせるように、ゆっくりしたペースで、しかし確実にファンをつかみながら開催されてきたSUNDAY MARKET。ホームページやブログには、各回の告知を兼ねて素敵なフライヤーデザインがアップされているのですが、私はこれを拝見するのをとても楽しみにしています。このように、主催者の提案する楽しい仕掛けや予告編に出合うと「イチのワクワク感って、訪れる前からはじまっているのだなあ」と実感します。
10月の日曜日、第19回目のSUNDAY MARKETが開催されました。すぐ近くの神社で秋祭りも開催されていて、いつもはゆったりと静かな太子堂の裏通りはとてもにぎやか。私は愛犬の散歩も兼ねてふらりと伺ったのですが、お散歩気分で立ち寄られるご近所さんから、開催に合わせて三軒茶屋散策に来るのが楽しみという方まで来客層も幅広いようです。毎回の出店者は、三軒茶屋近辺を活動拠点にする方をはじめ、主に飲食にまつわる作り手さんへ、主催のklala側から声をかけて決められていきます。この日は、アップルパイ専門店と焼き菓子やパンの店、どれにも合いそうな淹れたてのコーヒーまでそろって、お祭りムードで歩きながらでも味わえるような計6店舗が参加されていました。
「いろんなものをちょこっとずつ買って、その作り手と直接お話ができたり、そして出店者の方々も交流を持ったりするのがやっぱり楽しいかなって思うんです」と、みんなが笑顔になれるマーケットを目指しているというklalaのSUNDAY MARKET。この日、ほほ笑ましいシーンを見かけました。買い物をしながらも、他の人の反応がついつい気になる私の隣で、焼き菓子を迷いながら選んでいた中学生くらいの女の子2人。何かを買って帰った彼女たちでしたが、しばらくしてから戻ってきていたのです。息をはずませて「やっぱりこの味もください!」帰り道、あれこれを話しているうちに、「やっぱり買えばよかった……いや、やっぱり買いたい!」と小走りで帰ってきたようです。作り手さんも感無量、自分で選ぶ楽しみに目覚めていく女の子も笑顔。このイチのほんわかしたムードがそうさせてくれたのかもしれません。私が好きだなあと思う「イチのいいところ」を感じさせてもらった一日でした。ウッドデッキに一歩足を踏み入れると、遠くの森の中のマーケットに来たみたいな気分になれるイチ。次回の開催も楽しみです。
この日は、アニメでおなじみのコンビを見つけました。「クララ」と言えば?そう!「ハイジ」です。サンデーマーケット主催のクララさんのラブコールで実現した、おやつ屋ハイジさんとのコラボおやつセット。パウンドケーキとビスコッティに添えられた、アルプスの山々を模したアイシングクッキーが雰囲気を盛り上げます。本当のところ、共に店名の由来がそれというわけではないそうですが、こんな楽しいスペシャルな企画もイチらしい遊び心のひとつですね。価格:500円