小川と緑の手づくり市世界文化遺産にも指定されている、京都・上賀茂神社。歴史に彩られた由緒ある佇まいながら、地元の人からは「上賀茂さん」と呼ばれ、日々散歩を楽しんだりする親しみ深い場所でもあります。競馬(くらべうま)などの五穀豊穣神事が行われる広々とした芝生や、深い緑の中に小川が流れる境内は、歩いているだけで気持ちがとってもクリアになる気がします。今年は三重県・伊勢神宮の式年遷宮が大変話題でしたが、上賀茂神社でも、平成27年秋に42回目の式年遷宮が予定されています。そんな素晴らしい環境で開かれているのが「上賀茂手づくり市」です。

小川と緑の手づくり市京都で一番歴史がある手づくり市の運営にも携わり、市の楽しさを肌で感じた方々が、「古くさいけどなんだか新しい、そんな楽しい手づくり市を新たに作ろう!」と、上賀神社とのご縁もあって、2006年3月に立ち上げられました。出店のジャンルも幅広く、地元京都や近畿圏はもちろん、時には、遠く九州や北海道からの参加希望があるそうです。「基本的な思いとしては、神社の境内という地域に根付いた、誰でも気軽に立ち寄れる場所で開催をしているので、玄人好みではなく良い意味でのアマチュアリズムを感じていただければと思います」(主催者)

上賀茂手づくり市10月のさわやかな第4日曜日。朝8時過ぎには到着したので、出店準備の様子を横目で見ながら、まずは参拝。清々しい空気感の中、たくさんあるお宮を順にめぐってご挨拶です。手づくり市の開始時刻が迫り、会場へと戻ってみると、すでに多くの人で賑わっていました。毛糸やフェルトで作った小さな雑貨から木製家具まで、クラフト系は大きさ、種類も多彩に揃います。また、京都らしい漬け物から今人気のフレンチトースト、パンや珈琲、焼き菓子などの飲食店もたくさん!人気店にはすでに行列もできはじめていました。前から気になっていた「ごぼう茶」を売るお店では「これからの時期は、期間限定で堀川ごぼうでも作るんよ」と聞かされ、「それもまた味わってみたいなあ~」と次の季節へと想いを馳せたり。総勢250にも及ぶ店舗数も、境内の緑の中や小川添いを回遊するように並んでいるので、歩くこと自体が心地よく、「何周まわっても飽きない!」そんな気がしました。

上賀茂手づくり市また、春・秋の年2回、お菓子づくりが大好きな一般の方が、自慢の“おやつ”を発表できる企画「わたしのおやつ発表会」を催されています(次回は11/24を予定)。楽しさも大変さも学べる大変貴重な機会、これをきっかけに、本格的に製菓の道を目指される方が出てくるのかもしれません。「手づくり」という意味をいろんな側面から考えて形にしていく上賀茂手づくり市は、主催者、作り手、そしてお客さんたちの笑顔とエネルギーに溢れていました。

京都には、骨董市や陶器市、農家の朝市が昔からあたりまえのようにありましたが、そこに若い力が加わって、新たなイチもたくさん生まれているようです。またぜひ、京のイチめぐりへと戻ってきたいと思います。


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イチinfo

上賀茂手づくり市

開催予定
毎月第4日曜日 9:00~16:00
会場
上賀茂神社 境内
京都市北区上賀茂本山339
アクセス
JR京都駅・四条河原町・京阪出町柳駅・北大路バスターミナルなどの各所より、「上賀茂神社」行きの市バス(または京都バス)に乗車。「上賀茂御薗橋」下車徒歩約3分。または「上賀茂神社前」下車すぐ。
URL
http://kamigamo-tedukuriichi.com

北山黒粉山椒

山椒は、京の味として懐かしく思い出すもののひとつです。今回見つけたのは、無添加の粉山椒。無農薬の京都北山産・山椒の実を天日に干し、種を取って粉にしたという、収穫からすべて手仕事の一品。その驚くほどの芳醇さに「やっぱり好きだな、この香り」と再認識しました。ちりめん山椒(ちりめんじゃこと実山椒を酒、味醂、醤油で炊き上げたご飯の友)や昆布の佃煮などをはじめ、京の食に欠かせない山椒。ちりめん山椒も本来は実山椒を使うのですが、これだけしっかり風味のある粉山椒なら十分に風味を堪能できます。本当に香りが強くて、そのまま入れてたら、鞄の中身がすべて山椒フレーバーになったほど!帰路は、3重のビニール袋+厚手の巾着袋に入れて持ち帰りました。早速、ご飯の友の仕込みにフル活用。すっかり新米を食べ過ぎ、我肥ゆる晩秋です。価格:300円