6月20日(金) ~
6月26日(木)
五感の記憶ー廣川じゅん絵画展
南国の樹々が生い茂る風景、海辺のリゾート、熱帯の湿った空気──
廣川じゅんの作品は、かつて訪れた土地の記憶をもとに、想像の中で構築された風景たちです。
鮮やかな色彩に彩られたその景色は、観る者の中にある記憶、かつて肌で感じた温度や湿度、
光や匂いの記憶へと静かにアクセスしていきます。
ここ数年、廣川はそうした「五感の記憶」により深く迫るため、具象から抽象へと
アプローチを広げてきました。
今展では、「具象と抽象のあいだ」、その境界の捉え方自体に変化が現れた印象を受けます。
たとえば、花とてんとう虫が交わす小さな会話。
水蒸気にもみえる粒子が太陽の光に向かってぐんぐんと羽ばたいていく
それらは鑑賞者の自由な解釈に委ねられた光景でありながら、
「小さな世界」と「無限に広がる世界」の両方を感じさせる、不思議な感覚を呼び起こします。
このほか、具象を描いた絵の具が乗ったパレットで描く抽象の世界もまた新たな視点で発表されます。