第七話 植木のほかに

西村さん、だんだん寒さが厳しくなる時節になりました。
さて前回は木の撰び方についてお伺いしました。
庭づくりには木を植えるほかに、どんなことを考えなければならないでしょうか。

 まず初めに土の排水を考えなければなりません。水はけが良ければ敷地の形状 の自由度が高くなりますし、下草の選択も必然的に増えます。
 水はけが悪ければ土を盛ったりして起伏に違和感が出ないようにし、下草も水はけに合わせた植物を選びます。

木以外のこと

なるほど、排水が悪ければそれにあわせた工夫が必要なのですね。
今回の庭は排水が良いように思いますので、敷地の自由度が高いわけですね。
そのほか庭に必要な要素は植物、水鉢、敷石、灯籠などいくつかありますが、それぞれの役割を教えてくださいますか?

 まず、植物は家の中と外を繋ぐ役割があります。四季の変化や、日射の角度によって木の影が家の中に影が入り込んだり外に伸びたりと常に時間を知らせてくれる存在です。

そうですか!植物の影は時間を知らせるなんで、考えてみたことがなかったです。でも言われて見ればそうですね。木々は太陽と常にやり取りをしてようにも思いますね。

 次に水鉢は鳥を庭に呼び込み木にとっての害虫を食べてくれたりもします。なにより樹木以外の生き物が家の中から見れる事も豊かな事ですね。

本当です。この庭には生き物の居場所でもあれば嬉しいです。鳥や虫たちが集い、唄を歌い羽音を立てて暮らしてくれたら最高ですね。

木以外のこと
 
 灯籠は照明・石は通路と言った感じでしょうか。
 

通路としての敷石を照らす灯籠も大事ですね。今回はもともと持っていた灯籠を使っていただくので、どんな風に木々とマッチしていくのか楽しみです。
塀にもいろいろ種類がありますね。うちの塀は大和塀というらしいですね。 そのほかにはどんな塀があるのでしょうか。

 庭の周囲を囲む構造物は沢山の種類があります。
 大和塀は板塀の一つの施工方法です。他に、土塀であれば塗って仕上げるものや、泥や土を突き固める築地塀もありますし、地層の様に土を突き固める版築塀もあります。
 他に現代で多く使われているコンクリートブロック塀もそうですし、地域特有の物でトンバイ塀と言ったものもあったりします。

塀ひとつとっても用い方によって風情が変わりますね。
大和塀は室生犀星の使っていた塀でもあるということ、嬉しく思います。
いよいよ来週から庭造りが始まってきます。
金沢も気温が下がってきました。これから雪もちらつき始めます。
作業時は三重と比べて寒いかも知れないですが、室内で暖を取れるようにしておきますね。