お寿司と並ぶ代表的な日本伝統料理である天ぷら。徳川家康も大好きだった天ぷらは、江戸の三味とも呼ばれ、屋台から庶民に広がった日本人には馴染みの深い食べ物です。
屋台で立ち食いするという軽食やおやつ感覚だった天ぷらは、幕末近くに天ぷら店として店舗を構えるようになりましたが、今現在でも天ぷら専門店はお寿司屋さんに比べると少ないと感じます。
金沢でも数少ない天ぷら専門店である「天金」を訪ねました。料亭・金城樓の横に今年の4月にオープンした「天金」は、加賀藩ゆかりの屋敷跡である同地にそのまま残された中庭を眺めることができ、店内はしっとりと落ち着きのある空間で情緒が感じられます。
伺ったのは7月上旬、夏越の大祓・茅の輪にみたてた飾りが素敵な先附からのスタートです。こうして季節のあしらいをお料理に取り込むのも、長い間料亭で修業された板長ならでは、粋ですね。
旬で新鮮な食材、天ぷらに合う食材を県内外から厳選し、食材によって粉の打ち方を変え、油の温度を見ながら揚げる順番を決め、食のタイミングを見計らいながら手際よく揚げる。熱々サクサクの天ぷらが頂けるというのは、やはり天ぷら専門店ならではの醍醐味ですね。
食材に下粉を打って、衣液にくぐらせ、たっぷりの油で揚げる。その衣は驚くほど軽く、素材の旨味と香ばしい香りが口いっぱいに広がります。車海老、万願寺唐辛子、キス、紫いんげん、アスパラガス、河豚、メゴチ、饅頭茄子、マッシュルーム、ゴールドラッシュ、穴子。箸休めの加賀太胡瓜の酢の物が、より一層食欲をかきたて、12品の天ぷら、食事の天丼も胃もたれすることなくペロリと食べられます。
次は何が出てくるんだろう!というワクワク感も食欲をかきたてるのかもしれませんね。
季節や旬を味わいに天ぷら!オイシイ時間でありました。