能美市根上町には、大正時代から栽培が始まり今年で伝来100年を迎える特産物『加賀丸いも』があります。加賀丸いもとは、ヤマイモの一種でつくねいも群黒皮種のやまといもです。能美市根上町と言えば、今年国民栄誉賞を受賞された元メジャーリーガーの松井秀喜氏や元内閣総理大臣・森喜朗氏の出身地でもあります。この『加賀丸いも』を食べて育ち、力を付けたのかもしれません!

とろろたっぷり大正時代に能美郡根上町五間堂の方が、三重県から伊勢芋を自家用に持ち帰り栽培したことが始まりとされていますが、当初は丸い芋ではなく、生姜のような形だったそうです。ところが、白山連峰から日本海へと流れる手取川が昭和9年、長引く大雨により決壊しました。大量の水と土砂が下流へと流れ出し甚大な被害を受けました。田んぼの土と流れ出した川砂が混ざり合い栽培に適した土壌となり、丸みのある風味豊かな丸いもが採れるようになりました。これが『加賀丸いも』の誕生です。
丸いも自身が好む土壌は「芋田」と呼ばれ限定されています。他の田や土地では育たないからです。そして、病害虫を防ぐため同じ田では連作せずに3年に1度しか作りません。丸いもの栽培期は長く、植えてから収穫までに2年かかります。しかも1つの種芋から1つの丸いもしか収穫できない貴重なものなのです。

麦とろ定食加賀丸いもを味わいに金沢市にある【加賀丸いも・流木ギャラリー 陽菜】に伺いました。
『加賀丸いも』は、ジャガイモのような形をしています。黒い皮を剥くと、真っ白な芋が現れます。クセがなくもっちりとしているお刺身(500円)は、粘りや弾力が強いのでお箸でつまめます。定番の麦とろ定食(800円)では、古代米入り麦めしに加賀丸いものとろろをたっぷりかけていただくことが出来ます。昆布だしの味がついたとろろは優しい味わいです。新商品の麦とろカレー麦とろカレー(800円)は、女将さん手作りの大豆キーマカレーととろろのセットで、まずはとろろご飯で。そしてキーマカレーライスで。最後はキーマカレーととろろを混ぜて。と、1つで3つの味わいが楽しめます。キーマカレーととろろを混ぜると辛さも和らぎ、まろやかになります。

加賀丸いも刺身昔から「とろろを食べると力が付く!」と言われるように、とろろにはたくさんの栄養や効果が確認されています。カリウムやコンドロイチン、ポリフェノール、ムチン、ビタミンC、ビタミンE、食物繊維などが多く含まれていて、抗ウイルス作用、インフルエンザ予防といった免疫増強。成人病や糖尿病などのメタボ対策。美容や若返りといった女性には嬉しいアンチエイジングやデトックス効果などなどおどろきのパワーがいっぱいなのです。

オイシイモノ紀行 山根ひとみ

 
加賀丸いも・流木ギャラリー 陽菜
石川県金沢市伏見新町255
サンピア泉ヶ丘2F
TEL: 076-280-3334
FAX: 076-280-3321

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山根ひとみ
石川県金沢市在住。
日本フードアナリスト協会東京本部・北信越支部広報委員。
実家が農家ということもあり、農家さんの思いを形にしたいと、6次産業化や農商工連携アドバイザーを務める。フードアナリストとして石川の食を発信中。趣味は食べ歩き。