古民家に流れるゆるやかな音楽、にこやかにほほ笑む草花たち「にこぐさ」

にこぐさ外観

駅からまっすぐにのびる大通りを車で10分程走る。中心地から少し離れてはいるが、ビルやマンションが立ち並び、人通りも多く雑然とした町並み・・・そんな中、ふと、そこだけ穏やかな佇まいの古い引き戸が目に入る。


引き戸を開け、お店の中に入ると、古い木の柱と草花で溢れた土間が広がる。古民家を改装した空間が、子供の頃に野原で嗅いだような、ノスタルジックな草木の匂いに包まれている。土に根をはった植物の、命ある匂いだ。


店主である海老原さんが、このお店を立ち上げたのは今から8年前のこと。花屋さんで経験を積み、奥さまと二人で「にこぐさ」を始めた。夫婦で始めたのは、求めていることが一緒だったから。


名前の由来は、万葉集の
「葦垣の 中の和草(にこぐさ) にこやかに 我れと笑まして 人に知らゆな」
から。目が合ったその人だけにこっそり笑いかけてくれるような、雰囲気のある花を扱いたい。「売れる花ではなく、好きな花を揃えています。建物の雰囲気に合うように、仕入れの花を選んでいます。この空間が好きなので、おのずと自分の好きな雰囲気の花ばかりになります。」と海老原さん。お店の雰囲気が、その想いを忠実に伝えている。


撮影をさせていただきながら、ふと、音楽が耳に入ってくる。決して主張する事なく、花に寄り添うようなボリュームでジャズが流れていた。元々、音楽を学んでいた海老原さんは、今でも忙しい合間をぬって、月に一度はジャズバーでライヴを行っている。


にこぐさ看板

音楽と花。海老原さんの中で繋がっている所はありますか?という問いに「生きた素材である花を頭の中で組み合わせながら、花束などをつくり上げる作業は、リズムを即興的に組み合わせて演奏するジャズに通じるものがあるかもしれない」と話してくれた。


取材の終わりに、これからのお店の展望と、海老原さん個人の「夢」について聞いてみた。「お店に関しては、自分の好きなやり方で、もっともっと個性を出していきたい。自分の夢?んん~花屋のおやじで一生過ごしたいな。」


建物、花、音楽、すべてが溶け合って一つの世界が広がる――他にはないと感じさせる、その独特の空気感は、店主の経験と想いによって創り出されている。


にこぐさ看板

にこぐさ

 〒320-0036栃木県宇都宮市小幡2丁目6-16
 TEL&FAX 028-643-5113
 OPEN:10:00~19:00
 CLOSE:日曜日、第1・3火曜日
 http://www.nicogusa.jp/


先頭に戻る
My Favorite
  • ビアンキの自転車
  • ハイハットシンバル