「人と暮らしと住まいと地域」の心地よい関係をつくる建築士髙山毅

チルチンびと広場がスタートする以前から、栃木の素敵なお店をたくさん紹介してくださった無垢杢工房㈱イケダの高山さん。気になるカフェや雑貨屋などには必ず足を運んでみるという。訪ねるだけにとどまらず、お店のオーナーさんたちとも横のつながりを創り、「家づくり=暮らしづくり」という切り口で生活提案型のイベントを開催するなど、様々な試みを行っている。


建築の世界に入ったきっかけはなんですか?

中学生のころ家庭科の授業で、『家を設計してみよう』という課題がありました。みんなで新聞の折り込みチラシを持ちより、間取図や外観図を制作しました。そこで初めて、家づくりに関心を持ち、進路で悩んでいた自分に進むべき道筋ができました。


無垢杢工房を選んだ理由は?

大学時代アルバイト先の設計事務所にそのまま就職するはずが、いつしか夢を追いかけるよりも将来の安心が得られる地元の大手ハウスメーカーへ就職する道を選んでいました。しかし、就職2年目その企業は建売業界に参入。『家を建てる』から『家を売る』に変わり、自分は営業マンになっていました。そんなとき、高校の恩師に今の社長を紹介されました。丸太の製材から加工、家具や建具づくりまで一貫して取り組んでいる企業と聞き、『木造住宅を極めるならここだ!』と決意し、お世話になることとなりました。


家づくりに対する思いとは?

家は製品ではなく、他にふたつとない作品だと思います。『家づくりはお客様のために』という思いは当然であり、その作品づくりを通して沢山の人やモノが地域で循環することが重要と考えています。良質な木材、大谷石、葛生漆喰、鹿沼土、烏山和紙、益子焼など、家づくりに繋がる自然のマテリアルが栃木県には豊富にあり、素材の生み手つくり手もいます。それらを生かすことが私の役目でもあり、本来あるべき家づくりの姿だと思います。


ユカリノミチシルベ
イベントをやろうと思ったキッカケは?

自然素材の家を造りたいと思う方は、衣や食に対しても何らかの価値観はお持ちですが、それを知るキッカケは日常生活では数少ないこと。そこで、完成見学会の場を開放された一時的なコミュニティーとして、衣食住を創造する人と人が出会う場所にできないかと思ったのがキッカケでした。そんな思いを込めたイベントに『ユカリノミチシルベ ‐縁の道標‐』というタイトルを付けました。

 


ユカリノミチシルベのひとこま
「ユカリノミチシルベ」
のひとこま
カフェmikumariさんの料理でおもてなし
カフェ「mikumari」さん
の料理でおもてなし
イベントで工夫したこと、イベント後の反響などはありましたか?

キッチンを実際にカフェの店主に使用してもらったり、作家さんの器で料理を出すなど、生活の中でのイメージや使い勝手の良さが、来場者にわかりやすく伝わるように工夫しました。また、オーガニックカフェに野菜を納めている循環野菜農家の直売所を設け、イベントのコンセプトをより強調する取り組みをしました。イベント後は来場者が出店した雑貨屋さんに足を運んだり、出店者同士がイベントを開催したりと、ここでの出会いが枠を超えて、新たな創造を生んだようです。

 


これから家をつくろうとしている人へのアドバイスはありますか?

家はライフスタイルの舞台です。しかし、それだけで舞台は完成しません。衣や食に対しても関心を持つことでより素晴らしいライフスタイルが送れると思います。気分を上げる洋服や雑貨、美味しい食材、料理を惹きたてる器など、きっと皆さんの身近なところにあるはずです。その中に家づくりをつかさどる強い手掛かりがあるはずです。家づくりのパートナーに出会うまでに培われる感性を大切にしていただきたいと思います。


5月には、本誌67号(6月5日発売号)にも登場する宇都宮のアンティーク&雑貨屋「古道具あらい」「ATELIER n°18 TRAVAIL」さんとタッグを組み、完成見学会を会場に家づくりの一歩先、具体的なライフスタイルが垣間見える空間を提案するイベントを開催。「空間」と「暮らしを彩る雑貨」の両方を生かすディスプレイに、共に頭を悩ませたそう。地域の横のつながりがさまざまな活動を生んでいく。



髙山毅さんProfile
建築士髙山毅

無垢杢工房 株式会社 イケダに勤務する建築士
素敵な人との出会いは、自分を成長させ、新たな出会いを生んでくれる。
チルチンびと地域主義工務店 無垢杢工房 株式会社 イケダ
〒321-2116 栃木県宇都宮市徳次郎町306-3
TEL/028-665-0015 FAX/028-665-0015
http://www.wood-ikeda.co.jp


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