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踊りや劇で英会話を教えるユニークな子供向けの英会話教室の新しいスタジオ「 MLS(モデル・ランゲージ・スタジオ)」が、川崎市たまプラーザの街中にオープンした。複合ビルの一階にある教室のファサードに地中海風の壁が、道行く人の注目を集めている。左官の手で、泥混じりの漆喰にヨーロッパ産の割石を埋め込んだ塗り壁は、無垢の自然素材の質感と表情がそのままデザインになっている。施工を手掛けたのは、ATELIER BEAUNE(アトリエ ボーヌ)・丸山保博建築研究所の丸山保博さんだ。

街中にやさしく溶け込むMLS外観

MLS(モデル・ランゲージ・スタジオ)

小林澄夫さんに聞く

Q 西洋の漆喰壁の特色とはどのようなものですか。
西洋漆喰(石灰モルタル)はエジプトにあるピラミッドやヨーロッパの内外壁 などで古くから使われてきた歴史のある材料。浄化作用と消臭効果が期待でき、 表面強度が強く耐久性に優れていますね。また、都市の中にあっても優しく風景に溶け込み、自然を感じる素朴であたたかみのある風合いが魅力です。
Q こんな風に漆喰壁に石をいれても弱くはならないですか?
この壁はデザインの要素が強くて、洋風の石積みの壁に見せるために石を貼ったもので、下はモルタル壁ですから大丈夫ですね。雨にも強く、自然素材ですから時間とともに味わいが出てきて、石油の樹脂製品のように汚れることがありませんよ。
Q 西洋と日本の漆喰壁の違いはどういったものですか?たとえばどこで見られますか?
日本の漆喰は石灰に海藻の糊と麻スサを混ぜたものを鏝(こて)で塗るので、どちらかといえば平らに薄く仕上げられます。西洋の化粧漆喰は、生石灰を水で溶いたクリーム状のものを刷毛で何度も塗り直すので、やや厚みがあり刷毛目が出て自然な感じになります。日本の漆喰はお城の白壁などで見られ、西洋の漆喰はエーゲ海の真っ白い民家に見られます。

■ヨーロッパの壁
伝統的なヨーロッパの壁は、石や煉瓦を漆喰(石灰モルタル)で積んだ粗積造である。石や煉瓦を積むための接着モルタルは、日本の漆喰のように糊やスサを入れた石灰と砂だけのもの。石灰に混ぜる砂の色や煉瓦粒によって、石積みの壁は多様な色合いと表情を持つ。

 

[左]南イタリアのアマルフィ。旧市街の壁[右]石を石灰モルタルで積んだ朽ちた壁

[左]南イタリアのアマルフィ。旧市街の壁[右]石を石灰モルタルで積んだ朽ちた壁

石と煉瓦を煉瓦の粒入りの石灰モルタルで積んだ壁。いつの時代の壁か不明

石と煉瓦を煉瓦の粒入りの石灰モルタルで積んだ壁。いつの時代の壁か不明

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